研究課題/領域番号 |
05555201
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
斎藤 正三郎 東北大学, 工学部, 教授 (00005224)
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研究分担者 |
片桐 英一 チッソ(株)開発室, 主席研究員
猪股 宏 東北大学, 工学部, 助教授 (10168479)
今野 幹男 東北大学, 工学部, 助教授 (40125547)
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キーワード | ハイドロゲル / 体積相転移 / 機能性材料 / イオン性ゲル / 状態方程式 / 錯体 / 浸透圧 / 弾性力 |
研究概要 |
ハイドロゲルの溶媒中における体積相転移現象の発見以来勢力的な研究が行われ、この相転移がゲルに普遍的な現象であり、温度、溶媒組成、pHや塩濃度などの種々の環境因子の変化によって引き起こされることが判明してきた。このゲルについての特異な現象を利用した種々の工学的応用法が提案されており、新しい機能性材料として注目されている。そこで本研究で大きな体積相転移を示すことが知られているイオン性ゲルを対象として、その相転移機構を明確にすることを目的とした。実験では、溶媒として用いる水と親和性の異なる高分子鎖を有するゲルを合成し、1価あるいは2価のイオンを含む電解質溶液中でのゲルの膨潤平衡率の測定を行った。また理論的な解析も行い、以下の知見を得た。 1)1-1型電解質を添加した水溶液中での膨潤収縮挙動は、電解質の種類や構成高分子の親和性に強く依存し、ゲルの荷電基と会合性の高いイオンを添加し、かつ疎水性の高分子構造を有する場合に相転移が出現することが実験的に明らかになった。 2)ゲルの状態方程式を、ゲル弾性力、イオンの会合と解離イオンの浸透圧ならびに構成高分子と溶媒との親和性を考慮し、Floryの理論を適用して導出した。これより、1)の結果が理論的に説明されることを示した。 3)ゲル荷電基と錯体形成能のある2価のイオンを添加した際の膨潤収縮挙動は1-1型電解質とは全く異なり、相転移点のゲル分子構造に対する依存性が見られないことのあることを実験的に明らかにした。この相転移はこれまでの理論によっては予測できず、新しい理論的解析が必要なことを指摘した。
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