研究課題/領域番号 |
05555207
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木村 尚史 東京大学, 工学部, 教授 (30010771)
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研究分担者 |
滝田 耕太郎 東燃化学(株), 技術センター, 研究員
都留 稔了 東京大学, 工学部, 助手 (20201642)
中尾 真一 東京大学, 工学部, 助教授 (00155665)
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キーワード | プラズマグラフト / フィリング重合 / 中空糸膜 / 有機溶媒 / 膜 |
研究概要 |
モジュール単位体積当たりの膜面積を飛躍的に増大できる中空糸膜でプラズマグラフトフィリングが可能なことを示すことは、実用化を念頭におくとき非常に重要である。 基材として三菱レーヨン社製の多孔性ポリエチレン中空糸膜を用いた。モノマーとしてメチルアクリレート(MA)を用いた。溶媒として水およびメタノール水溶液を用い、3-5wt%のモノマー濃度にした。モノマー溶液は予め凍結脱気法を繰り返すことによって脱気した。中空糸基材は、約15cmに切り、コの字形に曲げてプラズマ照射用の試験管に挿入した。アルゴン雰囲気下で中空糸膜基材にプラズマを照射しラジカルを生成させた後、MAモノマー溶液を液相で接触させグラフト重合反応を行った。反応終了後、重合膜はトルエン中で1昼夜洗浄し、ホモポリマーや未反応モノマーを除いた後、約50℃で乾燥した。重合条件を変化させて重合実験を行った。 各重合条件で実験を行った結果、ポリエチレン中空糸膜を基材とした場合でも、メチルアクリレートがグラフトすることが明らかになった。中空糸膜をマイクロトームで断面方向に30μm厚みに切断し、切片を顕微鏡赤外分光法で観察したところ中空糸外側のにメチルアクリレート(MA)が重合しており、内側にはグラフト重合しておらず、重合は非対称構造であることが明らかになった。重合速度に及ぼす溶媒の効果は、大きい方から水、15wt%メタノール水溶液、30wt%メタノール水溶液の順になった。溶媒が水の場合、MA濃度を大きくすると重合速度も大きくなった。溶媒にメタノールを加えた場合でも、MA濃度を大きくすると重合速度がかなり大きくなった。 今後は、中空糸膜用のパーベーパーレーションモジュールを作製し、実際に透過実験を行う予定である。また、より細孔径の小さい中空糸膜についても同様の重合実験を行い、最適な重合条件を調べる予定である。
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