研究課題/領域番号 |
05555208
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
幸田 清一郎 東京大学, 工学部, 教授 (10011107)
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研究分担者 |
岡田 文雄 ジャパンエナジー(株), 新材料研究所, 研究員
大島 義人 東京大学, 工学部, 講師 (70213709)
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キーワード | レーザー誘起反応 / 連鎖反応制御 / シクロヘキサン / シクロヘキサノール / 部分酸化反応 / エキシマーレーザー / 光反応工学 |
研究概要 |
本研究はレーザー光を用いて連鎖反応系を制御し、熱反応に比べて格段の特徴を有する実用性のある合成反応プロセスを開発することを目的とする。具体的な目標は、シクロヘキサンからシクロヘキサノン・ノールを合成するような選択的部分酸化反応プロセスの開発である。さらにこれら具体的な開発研究を通して、レーザー光反応工学の実用的方法論を一般的に確立することを目指している。 本年度は、従来進めてきたシクロヘキサンの液相部分酸化反応に関して、現在まで不明である、光吸収機構と反応機構に関する知見を深めることを目的とした。反応にはKrFエキシマーレーザー光源を用いている。 光吸収過程を明確にするため、シクロヘキサンに酸素を導入して起こる吸収変化を検討し、248nm領域では、酸素のヘルツベルグ帯の吸収増加が大きな寄与をしている可能性があることを明らかにした。 反応生成物はシクロヘキサノン・ノールが主要生成物であるが、同時にかなり多量のシクロヘキシルペルオキシドが生成していることが初めて明らかになった。反応温度を288Kから343Kへ上昇させると温度上昇に伴い、シクロヘキサノールの収量がかなり大幅に増加することがわかった。これがシクロヘキシルペルオキシドの分解に起因しているのか、あるいは何らかの連鎖的な反応が高温で可能になった為なのか等については今後の検討が必要である。今後、シクロヘキサンの酸化反応過程の解明を進めて、反応工学的立場から光誘起連鎖反応として設計していくと同時に、他の化学種についても検討を広げる。
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