流下液膜式コロナ放電反応器を試作し、ヨウ素とヨウ化メチルの除去試験を実施したところ、本反応器が気体精製技術として適用できる可能性が得られた。 1.流下液膜式コロナ放電反応器の製作 濡れ壁塔の中心にカソード(陰極)を設けた流下液膜式コロナ放電反応器を試作し、カソード構造の工夫により電流値1mAまで安定な放電を行うことができた。 2.流下液膜式コロナ放電反応器によるヨウ素の除去試験 流下液膜として純水を用いて、窒素からの微量ヨウ素の除去試験を実施した。ヨウ素は純水に吸収するが、放電を行うとヨウ素の除去率がさらに向上する知見が得られた。流下液中に存在するヨウ素の溶存形態を検討した結果、放電を行うと流下液中のI^-濃度が顕著に増加することが判明した。これは、解離電子付着反応によって生じたI^-が流下液膜に吸収されて除去率が向上することを示唆する。次に、アノード(濡れ壁)材質に関する検討を実施した。濡れ壁に真鍮とステンレスを使用した場合、真鍮壁の方が除去率が大きい結果が得られた。これは流下液膜中のI^-が真鍮上に沈着するためであると考えられる。 3.流下液膜式コロナ放電反応器によるヨウ化メチルの除去試験 純水を流下液膜として用いて窒素からの微量ヨウ化メチルの除去試験を実施したところ、放電により除去率が格段に向上する結果が得られた。これは解離電子付着反応によって生じたI^-が液膜に吸収されるためである。また、ガスマスによる反応器出口ガスを分析した結果、副生成物としてメタンの発生が確認できた。さらに、ヨウ化メチルを完全に除去するためには、電子エネルギー制御による反応率の向上や流下液の選定により液膜からの未反応ヨウ化メチルの放散を防ぐ必要がある。
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