分子認識性を有する高温ガス分離用無機膜と分離システムの開発

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05555214
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 諸岡 茂治 九州大学, 工学部, 教授 (60011079)
• 研究分担者: 安斉 博 NOK(株), 研究開発本部, 主任研究員 ; 前田 英明 九州大学, 工学部, 助手 (60238871) ; 草壁 克己 九州大学, 工学部, 助教授 (30153274)
• キーワード: 無機膜 / 気体分離 / パラジウム / セラミック / 多孔質材料 / ゼオライト / 水素 / 二酸化炭素

研究概要

1.強制流動CVD法で合成した水素分離用複合無機膜による気体透過
多孔質α-アルミア支持管(細孔径110-180nm)の細孔内にパラジウムを強制流動気相合成法により析出させて、管軸方向に長さ5cmにわたりピンホールのないパラジウム・アルミナ複合膜を作成できた。この膜は水素について高透過速度と高選択分離性を示し、さらに360℃の温度で硫黄あるいは塩素(数100ppm)を含む気流と100時間接触させても、水素の透過特性に変化がなかった。
同様の手法によりγ-アルミナ膜(細孔径5-10nm)あるいは多孔質α-アルミナ支持管を用いて、シリカ・アルミナ複合膜を作成した。この膜の水素透過速度は10^<-8>molm^<-2.>S^<-1.>Pa^<-1>のオーダーであり、窒素についてはガスクロの検出限界以下(約10^<-11>molm^<-2.>S^<-1.>Pa^<-1>であった。この膜は高温水蒸気に対して極めて安定であった。
2.高温で二酸化炭素を分離できる無機膜の開発
二酸化炭素分離のためにペロブスカイト酸化物膜、シリカライト膜、ポリカルボシランの熱分解膜、有機・無機複合膜及び炭素膜を開発した。ランタン系のペロブスカイト酸化物の高温吸着挙動を明らかにした。次に、ゾル-ゲル法により作成したLaAlO_3膜では二酸化炭素が窒素に対して選択的に透過した。しかしながら、細孔径の制御が不十分で分離係数が低かった。分子ふるい性を有する膜としてゼオライト膜と炭素膜を作成したが、二酸化炭素分離のためには精密な細孔制御が必要であることがわかった。

研究成果

• [文献書誌] 諸岡成治: "無機膜による高温ガス分離膜の現状" F.C.Report. 12. 9-16 (1993)
• [文献書誌] K.Kusakabe: "Porous γ-Alumina Membrane Moditied with Vltvatine Zirconia Porticles Prepared by Revezsed Micelle Method." Prep.Pap.Am.Chem.Soc., Div. Fvel.Chem.38. 352-357 (1993)
• [文献書誌] Z.Y.Li: "Preparation of Palledium-Silver Membrane for Hydrogen Separation by Sproy Pyrolysis Method" J. Memb. Sci.78. 247-254 (1993)
• [文献書誌] 草壁克己: "逆ミセル法による金属酸化物微粒子の合成とその応用" ケミカルエンジニヤリング. 38. 569-573 (1993)
• [文献書誌] Y.Yamaki: "Lontrol of Pove Characteristics of thin Alumina Membraces with Ultratine Zirconla Particles Prepared by the Reversed Micelles Method." J.Memb. Sci. 85. 167-173 (1993)
• [文献書誌] 草壁克己: "高温気体分離用無機薄膜の開発" 化学工業シンポジウムシリーズ. 41. 9-12 (1994)
• [文献書誌] S.Yan: "Thin Palladium Membrane Formed in Support Poves by MOCVD Method and Application to Hydrogen Separation" Ind. Eng. Chem. Research. 33. 616-622 (1994)
• [文献書誌] 草壁克己: "気体分離用無機膜のゾル-ゲル法による精膜" 膜. 19. 165-170 (1994)
• [文献書誌] S.Yan: "Hydrogen-Permselecteive SiO_2 Membrance Formed an Poves of Alumina Support tube by chemical Vopor Deposition with Tetracthyl Orthosilicate" Ind. Eng. Chen. Research. 33. 2096-2101 (1994)
• [文献書誌] 草壁克己: "気体分離用無機膜の基礎と研究動向(その1)" 化学工業. 52. 748-755 (1994)
• [文献書誌] 草壁克己: "気体分離用無機膜の基礎と研究動向(その2)" 化学工業. 52. 819-826 (1994)
• [文献書誌] K.Kusakabe: "Separation of CO_2 with BaTiO_3 Membrane Drepared by the Sol-Gel Method" J.Memb. Sci. 95. 171-177 (1994)
• [文献書誌] 草壁克己: "表面拡散を利用する無機膜による二酸化炭素分離の可能性" 表面. 32. 756-761 (1994)
• [文献書誌] 諸岡成治: "無機膜の製造プロセス" 化学工学. 58. 893-897 (1994)
• [文献書誌] 草壁克己: "無機膜による気体分離(1)" 化学装置(韓国). 2. 25-32 (1994)
• [文献書誌] 草壁克己: "無機膜による気体分離(2)" 化学装置(韓国). 2. 25-34 (1994)
• [文献書誌] S.Morooka: "Formation of Hydogen-Permselective SiO_2 Membrane in Macropoves of α-Alumma Support Tube by Thermal Decomposition of TEOS" J. Memb. Sci.(1995)
• [文献書誌] K.Kusakabe: "Preparataion of supported Composite Membrane by Pyrolysis of Polycarbosilane for Gas Separation at Higb temperature" J. Memb. Sci.(1995)