研究課題/領域番号 |
05555218
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大島 宣雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50015971)
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研究分担者 |
三好 浩捻 鐘淵化学(株), 生産技術研究所, 研究員
福田 秀樹 鐘淵化学(株), 総合研究所, 部長
大川 敬子 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (30251052)
柳 健一 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (70239797)
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キーワード | 肝細胞 / 高密度培養 / ポリビニールホルマール樹脂多孔質体 / 充填層型リアクター / 人工肝臓 / 人工臓器 |
研究概要 |
ハイブリッド型人工肝蔵の開発のためには、肝細胞の高密度大量培養技術の確立が不可欠である。本研究では、polyvinyl formal樹脂多孔質体(PVF樹脂)を担体として用いる充填層型バイオリアクターを試作して1週間の連続培養を行い、肝細胞の機能に及ぼす培地条件の影響について検討した。 内径20mmのリアクターに、平均孔径250μmのPVF樹脂を2×2×2mmに細切した担体500個を充填して潅流培養に用いた。ラットから遊離した肝細胞をリアクター内に播種して7日間の連続培養を行った。Williams'E培地にホルモン、抗生剤を加えた培地を基本とし、牛胎児血清、成長因子(epidermal growth factor;EGF)が肝細胞の機能維持に与える影響を検討した。肝細胞の機能の指標として、アンモニア代謝、尿素合成能を測定した。培養終了後に担体に固定化された肝細胞のDNA量を測定して担体内の細胞密度を計算した。さらに、固定化された肝細胞の走査型電子顕微鏡写真を撮影して形態学的な評価を行った。 無血清培地を用いた培養では、リアクターのアンモニア代謝、尿素合成能は培養期間の経過とともに急激に低下し、培養3日目で1日目の10%以下の代謝能を保持しているに過ぎなかった。EGF添加培地では、培養初期にはリアクターの性能は良好に維持されたものの、1週間の培養後には1日目の10%以下に低下した。一方、血清添加培地においては代謝能は良好に維持され、1週間の培養後には1日目の約40%の活性を示した。血清添加培地を利用した系では、培養終了時に最高で約6×10^6cells/cm^3-PVFの細胞が固定化されており、培養期間を通じて肝細胞が高密度で培養されていることが示された。また、血清添加培地を使用した場合には、担体上にspheroid状の肝細胞凝集塊が観察されたことから、細胞の形態変化が機能維持に関連している可能性が示唆された。
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