研究課題/領域番号 |
05555218
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物・生体工学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大島 宣雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50015971)
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研究分担者 |
福田 秀樹 神戸大学, 工学部, 教授 (30263396)
三好 浩稔 鐘淵化学工業(株)総合研究所, 研究員
大川 敬子 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (30251052)
柳 健一 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (70239797)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | ハイブリッド型人工肝臓 / 肝細胞 / 高密度培養 / 充填層型バイオリアクター / ployvinyl formal樹脂 |
研究概要 |
現在肝移植が唯一の救命手段となっている重症の肝不全に対する治療の切り札として、装置内に生体の肝組織を組み込んだ、ハイブリッド型人工肝臓の開発が活発になされている。ハイブリッド型人工肝臓の開発のためには、肝細胞の高密度大量培養法の開発がその鍵となる。研究代表者らはこれまでに多孔質の樹脂である、polyvinyl formal(PVF)樹脂多孔質体を用いる肝細胞の高密度培養法について検討を行い、その有用性を指摘してきた。 本研究は、反応工学的な視点からハイブリッド型人工肝臓の設計を行うことを目的とした。装置の形式は、スケールアップの容易さなどを考慮に入れ、充填層型リアクターとした。肝細胞を固定化するための培養基材としては、研究代表者らが肝細胞培養への有効性を初めて示した、ポリビニールホルマ-ル(PVF)樹脂多孔質体を用いた。PVF樹脂は、その構造上、高い粒子保持能有するため、比較的容易に大量の肝細胞を固定化することが可能で、肝細胞の高密度、大量培養を実現できる可能性が高い。本研究では、PVF樹脂を用いる充填層型リアクターを設計試作し、10日間の連続培養を行い、肝細胞の代謝能を評価した。 ハイブリッド型人工肝臓の開発においては、装置内に培養肝細胞を含むことから、従来の人工腎臓や人工肺などの物質移動型人工臓器の開発において用いられた物質移動の理論のみならず、生体の肝細胞の代謝能の反応工学的解析が不可欠である。この分野においても研究代表者らは、従来から独自のモデルを確立してきた。本研究においてもこのモデルを応用し適用することにより効率的な開発研究が可能となった。 本研究により、PVF樹脂を用いる充填層型リアクターを用いることで、肝細胞を10^7肝細胞/cm^3基質という高密度の条件で、1週間以上にわたってアンモニア代謝やアルブミン分泌能を維持したまま培養することが可能となった。人工肝臓として実用化されるためには、肝細胞が10^<10>のオーダーで供給される必要があるとされている。本研究で得られた成果は、実用時の人工肝臓にまでスケールアップするにはPVF基質は10^3mlのオーダーでよいことになり、これは今後、充分到達可能なスケールである。
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