研究概要 |
液状食品の含有成分を変質させない非加熱殺菌方式としてのパルス殺菌法の実用化に向けての研究を行った。二年間にわたる研究の結果次のような成果を得た。 (1)印加する電気パルスエネルギを最小にして殺菌効果を向上させるためには、タンパク質の変質温度である60℃以下での加熱を併用することが極めて効果的であることが分かった〔1〕。 (2)食品への応用を念頭においた場合、処理後に生体有害物質が残存しないことが第一条件であるため、パルス処理による活性種等の生成についての実験的検討を行った結果、電極形状特に周辺部の形状が重要であることがわかった〔2〕。 (3)菌類に対するパルス処理によって、内容物の放出が起こるばかりでなく、その放出が選択的に行われることがわかった〔3〕。 今後の方向として、パルス電源を設計するための指針として、装置形状変数を取り入れたシミュレーション手法を用い、両者の整合をよりよくすることにより、パルスエネルギ注入効率を高めることの出来るシステムを開発する予定である。さらに、殺菌処理後の安全性に関する検討も今後継続する予定である。 〔1〕化学工学会第59年会、D-107(1994);〔2〕IEEE Trans.Ind.Appl.,in print;Conf.Res.-IAS Annu.Meet.(IEEE),pp.1455(1994);〔3〕J.Electrostatics,in print;Proc.ESA-IEJ Joint Symposium on Electrostatics,pp.3(1994);日本生物工学会平成5年度大会,No 506(1993);化学工学会秋季大会,N-114(1994)
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