研究課題/領域番号 |
05555220
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 猛 名古屋大学, 工学部, 教授 (10043324)
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研究分担者 |
水谷 悟 キリンビール(株), 基盤技術研究所, 研究員
魚住 信之 名古屋大学, 工学部, 助手 (40223515)
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キーワード | 動物細胞培養 / エリスロポエチン / L-929細胞 / vero細胞 / 固定化担体 / SV40 / 温度感受性 / 代謝制御 |
研究概要 |
平成5年度、申請者は当初の計画通り研究を行い、以下の実績を得た。 1.動物細胞培養による物質生産を行うために、長期培養に耐える強さを持つ光架橋性樹脂を固定化担体として選び、栄養源や酸素の拡散速度が大きく細胞毒性がない担体を作成した。固定化する細胞としてヒト型エリスロポエチンを生産する遺伝子組換えマウス繊維芽細胞L-929株、及び腎細胞を形質転換したvero細胞を用いたところ、有用物質生産に応用可能であった。 2.多孔質セルロース担体は、固定化担体としては細胞付着面積が大きく、細胞に無害であるなどの利点を持っているが、壁付着性細胞でしか適用が可能でなかった。そこでこれに正電荷を持たせることによって壁付着性細胞だけでなく、浮遊性細胞の固定化も可能であった。さらに、動物細胞接着因子やヘパリンをセルロース担体に修飾し、血清に含まれている様々な増殖因子を結合させることにより付着性細胞を効率的に固定化できる担体を作成した。付着性細胞の培養には接着因子を必要とするため、培地に血清を添加することが不可欠であったが、これらの分子を担体に固定化することにより不用となり、無血清培地で培養が可能であった。 3.温度変化によってDNA複製を制御することができるサルガンウィルス、SV40の温度感受性ベクターに有用物質の遺伝子を導入した遺伝子組換え動物細胞の培養方法についての動力学を検討し、高レベルの遺伝子産物の発現を誘導することに成功した。 4.栄養源濃度や代謝産物の濃度をオンラインで測定するシステムを構築し、実際の細胞培養及び物質生産に適用した。このシステムによって培養中、栄養源濃度の枯渇を防ぎ、阻害的な代謝産物の生成を極力低減することができた。
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