研究課題/領域番号 |
05555224
|
研究種目 |
試験研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物・生体工学
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
東條 角治 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (20081359)
|
研究分担者 |
大鳥 聡 千寿製薬(株), 神戸研究所, 研究員
鈴木 達明 久光製薬(株), 筑波研究所, 研究員
山下 明泰 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (30239959)
|
研究期間 (年度) |
1993 – 1995
|
キーワード | 経皮治療システム / ドラッグデリバリーシステム / イオントフォレシス / フォノフォレシス / サーマルパッチ / 皮膚吸収 / Pulsatile Drug Delivery / Dynamic Blood Concentration |
研究概要 |
経皮治療システムに電場、超音波、温度場を利用し、そのオン/オフによって薬物の皮膚吸収速度を時間的(動的)に制御可能なことをインビトロ実験で確認した。さらに、これら外力の透過促進メカニズムを実験データと数学モデルによる解析から明らかにした。 吸収速度の時間的変化に及ぼす電場照射モード(照射時間とそのオン/オフパターン)、電極の種類とその設置位置、ドナー基剤の影響を、新たに開発したインビトロ皮膚透過実験装置を用いて明らかにした。皮膚吸収速度は電場モードの調節によって動的に制御可能で、特に電場照射を停止すると速やかに受働拡散値(電場照射のない場合の吸収速度)に低下することがわかった。また、銀/塩化銀電極と白金電極とで有意な差はなかった。さらに、電極の電荷(+/-)を逆転することで、皮膚内へ移行した薬物をドナー基剤(ゲル)中へ取り出せることも明らかになった。なお、電場照射による皮膚の損傷は認められなかった。一方、超音波照射(1MHz、5w/cm^2以下)によって、皮膚吸収速度は電場照射時と同様著しく促進するが、超音波照射を停止しても、引き続き長時間吸収速度が上昇し、明らかに電場照射と異なる傾向を示した。この原因を明らかにするため、超音波照射で前処理した皮膚を用いて通常の皮膚透過実験(受働拡散)を行ったところ、著しい透過促進が認められた。この結果から超音波照射による皮膚(角質層)の構造的変化が示唆された。さらに、顕微鏡による観察から角質層の扁平細胞間の脂質が取り除かれたり、汗腺、毛穴などの内容物が取り除かれることが明らかになった。したがって、超音波照射は透過促進としては有効な手段になり得るが、吸収速度の動的制御の点では、レザバ-効果の検討が必要であることがわかった。また、血中濃度を皮膚吸収速度と同様な周期で動的制御するためには、体内半減期が1時間程度より短い薬物に限られることが本実験データと薬物動態モデルの解析から明らかになった。
|