研究概要 |
補助金により,高精度の電源を購入し,検出器の電源として用い、測定の感度の向上を目視した.以下のような結果を得た. 1.ガラス基板上に堆積させたシアニン系色素やロ-ダミンなどの分子につて,検出限界を測定したところ,最高で5.0pM/cm^<-2>,単分子層の100分の1に相当する,感度の高い測定結果であることがわかった. 2.分子の配向角を求めることができた.その結果,シアニン色素で34.1°と求めた. 3.照射するレーザー波長に吸収の無い領域でも,第二高調波光が発生することを確認し,それにより配向角度を求めた.吸収のある領域,無い領域とで,分子の配向角度を,それぞれの計算式に基づいて求めたら,それぞれの角度は一致した.第二高調波発生法は,吸収の無い分子でも発生し,その微弱光を検出することができ,本法の優位性を示すことができた. 4.分子の濃度依存性を詳しく検討すると,LB膜中にJ会合体を形成しているとが分かり,その会合体の配向角を求めることができた(16.1°).J会合体は,吸収法では高濃度でしか検出されないが,本法では低濃度でも波長依存性から検出することができた. 補助金により昨年度購入した高精度のゴニオメーターおよび自作の制御装置の組立が終わり,基本性能の確認と動作の確認を行った.そこで,色素分子を含むLB膜試料を装着し測定を行った.レーザーの入射角度が小さい(垂直入射に近い)時は,第二高調波光の信号も弱いが,入射角度が大きい(水平入射に近い)時は,第二高調波光の信号が強くなり,強度の増加が認められた.さらに,入射角度が大きい場合,第二高調波光以外の波長の信号成分も含まれていることが分かり,高次の非線形現象が起きている可能性もあり,現在詳細に検討中である. 以上のように,表面分子の高感度分析およびその分子の配向角度を決定することができた.今後は,さらに複雑な分子に本法を適用し,高度の配向状態分析を行いたい.
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