研究概要 |
1.トリメチルアミン(TMA)ガス感度の向上 In_2O_3‐MgO(5mol%)に各種金属を0.5wt%担持したセンサ素子のTMAガス感度とセンサの膜厚との関係を系統的に調べた。全ての素子について,膜厚が薄い領域では膜厚の増加とともにガス感度は増加し,ある膜厚でガス感度の最高値を示した後,膜厚の増加とともにガス感度はやや減少する傾向を示した。これらの結果から,前者の領域ではTMAガスと酸素ガスの拡散性の相違が,また後者の領域ではTMAガスの素子内部への拡散性が,すなわち,拡散中に燃焼消費されて拡散量が減少することが,それぞれガス検出特性を支配していることがわかった。Auを担持した膜厚約0.7mmのセンサ素子を用いて,ガスの反応性と拡散性を制御することにより,これまでに報告したIn_2O_3‐MgO(5mol%)素子のTMAガス感度を7倍程度増加させることができた。 2.高感度・高選択性ジメチルアミン(DMA)ガスセンサの開発 これまでに開発したセンサ素子のDMAガス感度は,TMAガス感度の1/3以下であった。しかし,In_2O_3‐MgO(5mol%)に通常よりは多い3.0wt%のPt担持した素子は,作動温度300℃でTMAガス感度よりも著しく高いDMAガス感度を示すことを見い出した。なお,無担持素子および他の金属を多量に担持した素子でもこのような現象は観察されず,Pt担持素子に特有の現象であった。ただし,このPt担持素子を400℃以上で作動させた場合には,これまでのセンサと同様に,TMAガス感度の方がDMAガス感度よりも高くなった。これらの結果は,作動温度300℃ではDMAガスによるセンサ素子表面の吸着酸素の消費以外の別の反応が起こり,この別の反応によってもガス感度が現れている可能性を示す。今後,Pt担持In_2O_3‐MgO(0.5wt%)素子のDMAガス検知機構をより詳細に解明する。
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