研究概要 |
これまで強誘電性液晶用キラルドーパントとして実用に供しうる程度の応答速度を示す新規光学活性化合物を多数合成してきた。設計方針を,大きな自発分極の発生から粘性低減に切替えて分子設計をおこなった。すなわち,下式1,2を合成して応答を調べた結果,1は比較的大きな自発分極を示すと同時に応答も速いことがわかり,既知の3と相補的に併用できることがわかった。一方,2は期待に反して自発分極が極めて小さく,応答も遅い。この理由は今後解明してゆきたい。自発分極が小さくかつ低粘化合物にいかにして高速応答させるか。この問題解決法は極性官能基をコアに組み込んで,双極子の方向を規制することにあると予想し,ジヒドロベンゾフラン4やフロピリジン5を合成した。このうち5では二つのヘテロ環の双極子モーメントがそろうので自発分極はうまくかせぐことができ,4に比べて高速応答を示すことがわかった。以上のほかにフッ素導入法として「酸化的脱硫フッ素化」の方法および「有機ケイ素化合物のクロスカップリング反応」を幅広く検討した。
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