研究概要 |
これまでにジヒドロベンゾフラン誘導体が大きな自発分極を示すことを見つけた。一方,ニトロ基を持った強誘電性液晶は大きな自発分極に加え,二次の非線形感受率を示すことが知られている。そこで,コアにニトロジヒドロベンゾフランを持った強誘電性液晶は高い二次の非線形感受率を示すものと考え,光学活性6-および7-ニトロー2,3-ジヒドロベンゾフランをいくつか合成した。その非線形感受率は,有機単結晶には及ばないものの無機材料と同程度の値を示した。ニトロ基の他に,電子供与基を組み込めば,非線形光学材料としての実用性が期待できる。強誘電性液晶同様,将来の表示材料として反強誘電性液晶が注目されている。しかし,その物理的・化学的性質は未知の部分が多い。反強誘電性液晶分子の配向状態を明らかにし,新しい分子設計の指針を得るために,強誘電性液晶2分子をメチレン鎖でつないだ構造の分子を設計し,合成した。この二量体型液晶化合物は,メチレン鎖が奇数個のものは反強誘電性を示し,メチレン鎖が偶数個の場合には強誘電性を示した。こうして反強誘電性の発現には立体効果も重要であることを明らかにした。この事実は,福田らが提案している反強誘電性液晶の配列モデルを支持するものである。また,反強誘電性液晶への添加効果についても検討し,二量体型液晶化合物がSmCA^*相を安定化し,ドーパントとしても用いることができることを見つけた。
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