研究課題/領域番号 |
05555239
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
池田 功 大阪大学, 工学部, 教授 (70029049)
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研究分担者 |
能勢 伸治 ダイソー株式会社, 研究所, (所長)
平尾 俊一 大阪大学, 工学部, 助教授 (90116088)
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キーワード | アセトニル化 / アセトニリデン化 / X線結晶解析 / π-アリル錯体 / オキソジメチレンメタン / [1+2]付加環化 |
研究概要 |
本申請者らは、これまでに2-クロロメチル-3,5-ジオキサヘキセン-1(1)及び2-アルキルカルボナート誘導体を、置換反応並びに触媒反応アセトニル化試剤として開発してきた。本年は、さらに効率的で新しい反応系の開発を目的として、この触媒反応の中間状態を明らかにすべく、化合物1のアセタール部位を2-ピラニルオキシ基に代えたアリル化合物を合成し、触媒反応中間体と考えられる錯体を単離して、単結晶化させ、X線構造解析を行なった。構造解析の結果、活性中間体と考えられるものはπアリル錯体であるものの、アリル基に結合している酸素原子が配位金属による電子吸引作用によって大きくオキソニウム化していることが判明した。すなわち、白金錯体ではアリル基の2位の炭素と酸素の原子間距離は殆ど二重結合のそれに等しく、極めて高い陽電荷が酸素原子上に存在することが示唆された。パラジウム錯体では二重結合と一重結合のちょうど中間の距離にあることが判明した。実際の触媒的アリル化反応ではパラジウムは活性であるが白金は不活性であって、その差はこの金属による電子の吸引性に基づくものと推測された。このパラジウム錯体は塩基によってオキソジメチレンメタンを発生し、これが特定のオレフィンに対して[1+2]付加環化することが証明できたので、この反応をさらに発展させれば触媒的にアセトニリデン化が可能と考えられる。そこで、この目的を次年度に達成すべく、化合物1あるいはその炭酸エステル誘導体のアセタール炭素にメチル基を有する新しい化合物を1-クロロエチルメチルエーテルとエピクロロヒドリンから合成した。
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