研究課題/領域番号 |
05555240
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
園田 昇 大阪大学, 工学部, 教授 (20083983)
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研究分担者 |
小川 昭弥 大阪大学, 工学部, 助手 (30183031)
柳 日馨 大阪大学, 工学部, 助手 (80210821)
神戸 宣明 大阪大学, 工学部, 助教授 (60144432)
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キーワード | セレノール / 含セレン複素環 / ラジカル付加 / 光学材料 / 遷移金属触媒 / 硫黄化合物 / テルル / 複合効果 |
研究概要 |
本研究では、ヘテロ原子、特にカルコゲン原子(硫黄、セレン、テルル)の反応特性の解明と、これに基づくヘテロ原子の高効率、高選択的導入法の開発を目的に研究を進めた。本年度、明らかとなった成果は次のように要約される。 (1)α,β-不飽和ケトンへのセレノールのマイケル付加の系で生起する不飽和結合の還元についてモデル化合物を用いて詳細に検討した結果、反応は系中に極微量存在する酸素により誘起されるラジカル連鎖機構により進行し、鍵活性種としてセレノラジカルが含まれることが明らかになった。 (2)(1)の結果は、生体内においても極微量の酸素と-SeH基を有する化合物が存在すれば、還元が生起し得ることを暗示している。そこで、生体内の酵素により-SeH基を発生できるような含セレン複素環の合成を検討し、アルデヒドとセレノアミドから新規複素環オキサセレナジンの合成に成功した。 (3)カルコゲン原子のラジカル種の反応性(特に、炭素-炭素不飽和結合に対する反応性)について詳細に検討した結果、個々のヘテロ原子の持つ特性を有効に利用した複合反応系の設計に成功し、炭素-炭素不飽和結合への位置選択的な各種カルコゲン原子の導入が可能となった。 (4)高選択的なヘテロ原子化合物の導入に遷移金属触媒の活用が有効であると考え、遷移金属触媒とカルコゲン化合物の組み合わせによる新規反応系の開発を多数行った。例えば、炭素-炭素不飽和結合へのチオ基、セレノ基の位置および立体選択的な付加反応を開発した。 (5)セレン、テルルを有するいくつかの典型的な化合物の3次の非線形光学特性の測定を行い、非線形性に対するヘテロ原子の効果について数多くの基礎的知見を得た。
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