研究概要 |
1.exo-urea,endo-urea,exo-sulfonamide,exo-carbamateが塩化パラジウムを触媒として、メタノール中、一酸化炭素1気圧で容易にアミノカルボニル化をうけるのに対し、O-allylendo-carbamateは同一条件では全くアミノカルボニル化をうけず、ほとんどが分解してしまう。これは、endo-ureaがexo-ureaよりも反応性が高く、より速やかにアミノカルボニル化をうけるのと対照的をなす。反応条件を検討した結果、endo-carbamateの環化反応にはオルト酢酸トリメチル(MOA)と酢酸ナトリウムの両者が有効に作用することを発見した。更に検討の結果、MOAを溶媒として用いても(即ち、メタノールを用いなくても)アミノカルボニル化は容易に進み、かつ、この場合生成物のtrans選択性が格段に向上することも分かった。なお、endo,exo-の用語は環化反応の結果、窒素官能基が環の構成成分の一部になるのか、環の置換基として導入されるのかの基質の構造上の違いを区別する目的で用いた。同一分子内にendo-carbamateとexo-carbamate(およびexo-urea,exo-sulfonamide)を合わせ持つ基質に対しても同様にMOA中ではendo-carbamateが、メタノール中ではexo-carbamate(およびexo-urea,exo-sulfonamide)が選択的に反応することを明らかにした。 2.3-アミノ-4-ペンテン-1-オールのヨウ素環化反応ではcis,trans-3-ヒドロキシ-2-ヨードメチルテトラヒドロフランを与える。このcis/trans選択性に及ぼすアミノ基の置換基の電子効果を検討し、電子吸引性が増せばますほど、cis選択性が向上することを明らかにした。Taft σ^*と選択性との間に良好な直線自由エネルギー関係が成立した。
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