研究課題/領域番号 |
05555256
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
砂本 順三 京都大学, 工学部, 教授 (80037811)
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研究分担者 |
山口 茂彦 日本油脂(株), 筑波研究所, 研究員
佐藤 征 日本油脂(株), 筑波研究所, 所長
奥村 幸久 京都大学, 工学部, 助手 (40243042)
秋吉 一成 京都大学, 工学部, 助教授 (90201285)
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キーワード | 多糖 / 両観媒性 / プルラン / コレステロール / O / Wエマルション / 制癌剤 / α-リノレン酸 / ドラッグキャリアー |
研究概要 |
天然由来脂質と大豆のごとき脂肪とを水中に分散したときに形成されるO/W_-エマルションが、脂溶性薬物キャリアーとして有用であることは既にいくつかの臨床例によっても認められている。しかし、現状では、血中安定性および細胞特異性に欠けることもあり、DDS(薬物運搬システム)としての積極的な応用を考える時、改良すべき点が多くみられる。本研究では、リポソームの研究において既に確立した多糖のコレステロール誘導体による被覆技術をO/W_-エマルションにも応用することを計画した。最近従来のレシチンを併用する方法とは全く異なり単純脂肪とコレステロール置換多糖のみとによって、比較的安定なO/W_-エマルションが形成されることを見い出した。本年度は、CHP/ALA/TriC_<8->エマルションを薬物運搬体として利用する際、極めて重要な問題となる血液中での安定性を評価した。エマルションの粒径および濁度の経時変化から、CHP/ALA/TriC_<8->エマルションは、主要な血漿タンパク質であるアルブミン溶液中でもコロイド的に安定な微粒子として存在していることが明らかになった。またアルブミン溶液中でのCHP/ALA/TriC_<8->エマルションのALA保持率は、アルブミンの濃度が4.2mg/mlの時、約80%、血清のタンパク質濃度と等しい42.0mg/mlの時でさえ、約70%であったことから、血中投与後も大部分のALAはエマルションに保持された形で安定に存在していることが分かった。更にエマルション化によるALAの化学的安定性を過酸化脂質生成の経時変化から評価した結果、水溶液中ではエマルション化によりALAの過酸化が著しく抑制されるのに対し、血清存在下ではALAの存在形態に関わりなく、ALAの過酸化は殆ど進行しないことが判明した。
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