研究分担者 |
足立 茂 日本ファインセラミックス(株), 研究開発部, 係長
渋谷 喜久夫 日本ファインセラミックス(株), 研究開発部, 次長
三谷 徹 航空宇宙技術研究所, ラムジェット燃焼研究室, 室長
鎮西 信夫 航空宇宙技術研究所, ラムジェット性能研究室, 室長
小林 秀昭 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (30170343)
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研究概要 |
将来型ラム/スクラムジェットエンジンにおいて,飛翔条件に応じて著しく変化する空気流に対処し燃焼を制御する方法を開発することを目的として,超音速燃焼用セラミック製可変保炎器の試作研究を行った.本年度は,保炎器形状と保炎メカニズムの関係の解明,セラミックス保炎器の耐熱強度などに関する試験を行い,可変保炎器製作に関する設計資料を得た.その試験内容と知見を以下に示す. (1)従来から考案されているストラット保炎器を概ね2分割したステンレス製保炎器を製作し,下流側ストラット位置を変化させて両者の間隔を変えることにより亜音速領域の体積を変化させた.燃料水素の噴射量および主流空気のマッハ数を一定(M=1.5)として,保炎可能な全温とストラット間隔との関係を調査した結果,あるストラット間隔の範囲でのみ保炎できることが判明した. (2)上記現象のメカニズムを解明するために,2分割したストラットに挟まれた亜音速領域における燃料水素の濃度分布をガスクロマトグラフィーにより測定した結果,水素濃度はストラット間隔に大きく依存し,ストラット間隔が狭いと水素濃度は極めて高いが,ストラット間隔が大きいと水素希薄となり,あるストラット間隔の範囲において,平均濃度は理論混合気濃度に最も近づくことがわかった.また,亜音速領域における速度分布を熱線風速計およびLDVによって測定し,燃料水素の平均滞在時間を求めた結果,滞在時間は,ストラット間隔の増大とともに増大した.以上の結果から,下流側ストラットを可動式にすることは,亜音速領域における燃料濃度と滞在時間を制御する観点において有効な方法であることが明らかとなった. (3)ステンレス製保炎器と同一形状の2分割型保炎器をジルコニア系セラミックスにより製作し,燃焼実験により耐熱性能試験を行った.その結果,耐熱性は高く,表面が溶融する問題は無かったが,下流側ストラットは試験を繰り返す過程で破断した.これは,下流側ストラットの断面積が小さいために超音速流中では機械強度が十分でない為であると思われ,断面積の大型化や金属材との複合化などの対策が必要であるという知見を得た.
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