固体推進薬は、一度着火すると燃焼制御することが困難です。それを行う方法として、メインチャージ(以下MC)と呼ぶ真空中では酸化剤不足のため自律燃焼できないコンポジット固体推進薬と、パイロットチャージ(以下PC)と呼ぶアーク放電により高温かつ酸化性のある昇華ガスを発生させることが可能な固体推進薬を用い、PC昇華ガスをMCに供給・中断することでをことで、MCの燃焼制御を行う方式のロケットモータを製作し、それによる燃焼実験を行いました。 燃焼実験は宇宙空間での使用を想定し真空容器内で行いました。アーク放電には定電流型直流電源装置を用い、放電は並列に設置された高周波イグナイタにより開始しました。放電電極は両極とも炭素製で放電距離は10mm以内の範囲で調節可能です。供試推進薬には、MCにはHTPB(末端水酸基ポリブタジエン)、AP(過塩素酸アンモニウム)粒子及びTi微粉末が、HTPB/AP/Ti=50/50/0、40/50/10、30/50/20(Wt%)のものを用い、PCにはPTFE(テフロン)またはAPを用いました。燃焼実験は放電距離または放電電力を変化させて行いました。 MCにHTPB/AP/Ti=50/50/0、PCにPTFEを用いた場合と、放電距離または放電電力にほぼ比例してPCとMCの消費率が大きくなることがわかりました。MCに50/50/0、PCにAPを用いた場合は、着火後圧力が急激に上昇し制御不能となりました。MCに30/50/20、PCにPTFEを用いた場合は、着火後すぐにMCが自然圧力領域に入り、制御不能となりました。15EA04:以上の結果より、今回の方式では、MCにHTPB/AP/Ti=50/50/0または40/50/10、PCにPTFEを用いることにより、応答性のよい制御が可能なことが確認されました。
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