研究課題/領域番号 |
05555265
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤本 由紀夫 広島大学, 工学部, 教授 (60136140)
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研究分担者 |
黄 一 広島大学, 工学部, 助手 (20253114)
岩田 光正 広島大学, 工学部, 教授 (80034346)
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キーワード | ヘルスモニタリング / クラック / センサ / 疲労 / 船舶 / 損傷 / 知能化構造物 / 構造安全性 |
研究概要 |
最近、Intelligent構造あるいはSmart構造と呼ばれる知能化構造への関心が高まっている。知能化の一つにヘルスモニタリング構想がある。ヘルスモニアリングとは、人間の神経網を模擬したセンサ網を構造物に張巡らして使用中常時監視し、部材に生じた異常を早期に感知することにより安全性を確保するものである。船舶でも従来から種々のモニタリングは行われているが、モニタリング項目は、環境因子やエンジン関係に限られており、損傷や破壊事象を直接モニタすることはほとんど行われていない。しかし、船舶において損傷や破壊のモニタリングが可能になると、日常点検が容易でない部材の安全性確保や、検査のための稼働停止損失の削減にきわめて有効である。また、経験の乏しい構造部材の設計においては、構造損傷への不安からくる過剰な増厚をモニタリングを行うことで避けることができる。 このような観点から本研究では、船体構造に生じるクラック損傷を対象に、導電フィルム・センサ、光ファイバー・センサ、および導電塗料・センサの計3種類を試作した。いずれも部材表面設置型である。次に、各センサを溶接継手模型および平板試験片に設置して低サイクルと高サイクルの疲労試験を行った。その結果、導電フィルム・センサと導電塗料・センサはクラックにより破断し低、高サイクルの両疲労に対して有効であることがわかった。光ファイバー・センサはクラックにより破断しなかったが、これはプラスチックのファイバーを使用したためと考えられる。その後の実験により、ガラスの光ファイバーはクラックにより破断すること、およびプラスチックの場合破断しなくても光強度の変化からクラックを感知できることがわかった。 また信頼性工学的検討に基づいて、船舶において部材破壊を直接モニタすることの意義および、センサ設置部材の選定基準を明らかにした。
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