研究概要 |
船舶や海洋構造物の使用中の安全性を確保する方法に構造損傷モニタリングがある。構造損傷モニタリングには異常感知法と,危険予知法とがある。このうち,本研究では異常感知法としてヘルスモニタリングを,危険予知法として犠牲試験片取付け法を取り上げ実験的検討を行った。まずいくつかの亀裂感知センサーと亀裂予知のための犠牲試験片を試作し,次にこれらを小型試験片に設置して疲労試験を行いセンサー特性を調べた。 亀裂感知センサーは,導電フィルム,導電塗料,プラステイックとガラス光ファイバーおよびカーボンファイバーを素材とする5種類を試作した。いずれもエポキシ樹脂で部材表面に接着して使用するもので,亀裂はセンサーの電気抵抗変化あるいはレーザー光の強度変化から感知する。疲労試験の結果,各センサーとも亀裂感知可能であることがわかった。また実験結果からセンサーの取扱いと耐久性に関する問題点を指摘した。 犠牲試験片は構造部材に取り付けた場合,部材歪みが拡大・伝達されて部材よりも早期に損傷が生じるように設計する。犠牲試験片の損傷時期と損傷の様子から構造部材の損傷時期を予測するものである。試行錯誤の結果採用した犠牲試験片の本体は,長さ60mm,幅10mm,厚さ0.25mmの中央人工亀裂付き平板試験片である。これを中央の人工亀裂を挟んである長さの間をテフロンフィルムで巻き,さらにその周りをエポキシ樹脂で包み,樹脂の間に本体がサンドイッチされるようにした。樹脂で包んだ後の試験片厚さは約1mmである。この犠牲試験片を平板試験片に接着して疲労試験を行ったところ,片振りおよび両振り荷重下で犠牲試験片として利用できることがわかった。
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