研究概要 |
ニューラルネットワークによる離散的満足化の機能を構造物の最適設計問題に適用することを目的として,今年度はそのプログラムの基本設計とプロトタイプの開発とを行なった.その結果として得られた新たな知見は以下の通り. 1.ニューロンを用いた設計変数の数値表現法 ニューラルネットワークによる離散的最適化(組合せ最適化)に於いては,各ニューロンの個別的機能の均質化(分散化)が最適化の効率を高めるということが研究代表者によって指摘されていた.今回,その問題に対して安定性判別を適用し,ニューロンによる分散的数値表現法の有効性を解析的に検証した.このことは,不規則的な離散値をとる設計変数に対する分散的数値表現法として,研究代表者が提案してきた写像法の有効性の証明でもある. 2.ニューラルネットワークによる最適構造設計 ニューラルネットワークによる構造設計の例として,研究代表者らは船体を単純梁とみなした中央横断面の離散的最適化を行なっている.ただし,そこでは有限要素解析を含んでいない.今回,ドーム型トラス構造(部材数52)の離散的最適化問題に対してプロトタイプを適用し,最適解が高い確立で得られることを確認した. 3.勾配力学系へのゆらぎ ニューラルネットワークは勾配力学系であり,それを用いた最適化に於いては,局所解からの脱出と大域的最適解への到達を可能とするために,系に確率的なゆらぎを与える必要がある。研究代表者は確率論的なゆらぎをモデル化してきたが,今回カオス力学系のゆらぎの導入を試みた.現時点では,制御パラメタの増大に比して最適化の効率の向上が確認できておらず,確率論的ゆらぎの優位性は否定されていない.
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