研究課題/領域番号 |
05555274
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
恒川 昌美 北海道大学, 工学部, 教授 (40002026)
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研究分担者 |
吉田 豊 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (20002933)
広吉 直樹 北海道大学, 工学部, 助手 (50250486)
平島 剛 北海道大学, 工学部, 助教授 (00175556)
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キーワード | バクテリアリーチング / 黄銅鉱 / チオバシラス・フェロオキシダンス / 界面活性剤 |
研究概要 |
本研究は、バクテリアリーチングの浸出率・浸出速度を律している因子を明らかにし、浸出性の改善に有効な対策を確立しようとするものである。平成7年度は、研究計画・方法に沿って研究を進め、以下のような結果と知見を得た。 1.6種類の界面活性剤(Tween20、Tween40、Tween60、Tween80、Tween85、Brij35)を用いて、イ)黄銅鉱のバクテリアリーチング、ロ)鉄(III)イオンによる黄銅鉱の化学的浸出、および、ハ)T.ferrooxidansによる鉄(II)イオン酸化、に及ぼす各界面活性剤の影響について調べた。いずれの界面活性剤も添加濃度が高くなると、鉄(III)イオンによる黄銅鉱の化学的浸出、T.ferrooxidansによる鉄(II)イオン酸化を抑制した。しかし、バクテリアリーチングにおいては、適切な界面活性剤の添加濃度で、銅浸出量が無添加の場合より増加した。 2.黄銅鉱のバクテリアリーチングに及ぼすTween20の影響について詳細に検討し、本界面活性剤による銅浸出促進が以下のような作用機構によることを明らかにした。本界面活性剤を添加すると、黄銅鉱への菌体付着が抑制され、高い鉄(II)イオン酸化活性を持つ液相菌体の数が増加する。このため、添加濃度20-50g/dm^3の場合、浸出液中の鉄(III)イオン濃度が増加して、鉄(III)イオンによる化学的浸出が活発に進行するようになる。その結果、銅浸出量が増加する。ただし、これより過剰の添加濃度では間接浸出機構の主要反応(1.のイ)、ロ)の反応)が抑制され、銅浸出の促進は認められなくなる。 3.以上のように、本研究では、Tween20などの界面活性剤を適切な濃度で浸出液に添加することで、黄銅鉱のバクテリアリーチングにおける銅浸出性を改善できることを明らかにした。
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