| 研究概要 |
昨年度の研究対象であった鉄酸化細菌に比べて,好酸性・好熱性細菌Acidianus brierleyiの黄鉄鉱に対する浸出能が極めて優れていることが判明した。そこで,高効率の微生物的浸出処理を達成させるために,本好熱性細菌を対象とした大量培養,半回分・反復回分式反応器での黄鉄鉱の浸出について検討し,次の諸点を明らかにした。併せて,浸出処理用の連続式単一槽型反応器(気泡攪拌槽)の設計・製作に取り組んだ。
1.好熱性細菌の大量培養 エネルギー源として硫酸第一鉄および黄鉄鉱を用いて,好熱性細菌A.brierleyiの回分培養実験を行い,実験結果を速度解析して細菌の比増殖速度と菌体収率を求めた。その結果,硫酸第一鉄を基質とした場合に比べて,黄鉄鉱の場合には比増殖速度は変わらないが,菌体収率が10倍程度大きくなり,細菌の大量培養には硫酸第一鉄溶液よりも固体基質である黄鉄鉱,すなわち無機硫黄を用いる方が極めて有利であることを明らかにした。また,鉄酸化細菌に比べて,好熱性細菌の場合には菌体収率は大差ないが,比増殖速度は4倍程度大きくなることがわかった。
2.半回分,反復回分式反応器における浸出 半回分操作(鉱物:回分式,液:連続式),反復回分操作(間欠的に液培地の半分を変換)を採用して,好熱性細菌による黄鉄鉱の浸出実験を種々の条件下で行った結果,両操作とも回分操作の場合に比べて浸出速度の向上を図ることができた。この両操作で観察された興味ある挙動は,回分操作に対して本研究者らが提案した既往の数学モデルを拡張することで,ほぼ説明することができた。
3.連続式単一槽型反応器における浸出 鉱物および溶液ともに連続操作する単一槽型反応器を設計し,その製作を完了した。次年度には,連続式単一槽について各種操作条件の最適化を行い,本反応器での硫化鉱物の微生物処理の高効率化を図ることに主眼を置いた研究を行う予定である。
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