研究概要 |
1.連続式単一槽型反応器におけるバイオリーチング 硫化鉱物および液体培地ともに連続的に供給・排出する単一槽型反応器(内容積10,000cm^3)を製作し、本連続式反応器を用いて好酸・好熱性細菌Acidianus brierleyiによる黄鉄鉱の浸出実験を行い、その浸出挙動について実験的、理論的に検討した。その結果、希釈率(=スラリー排出速度/反応器体積)が増加するに伴って液相菌体濃度や平均浸出率は急激に減少したが、哲の浸出速度はある希釈率において最大値を示すことがわかった。さらに、反応器入口での固液混合比を増やすと、浸出速度や液相菌体濃度は増大するが、平均浸出率は固液混合比の影響をあまり受けないことも明らかになった。これらの観察された浸出挙動は、回分操作モデルを拡張した連続操作モデルと吸着・増殖パラメータ(回分式反応器で実測されたもの)を用いることによって定量的に説明できた。 2.バイオリーチング用反応器の操作方式と性能評価 鉱物に関して回分式となる各種操作(回分式、反復回分式、半回分式)では、鉱物の仕込み・取り出しや種菌の前培養などの付随操作によって反応器の実働時間が大幅に削られる。従って、鉱物の大量浸出処理を指向した工業的反応器の操作方式としては、鉱物の連続処理で実働時間が大きく稼げる連続操作が望ましい。A.brierleyiによる黄鉄鉱の浸出(固液混合比 20kg/m^3)に着目して連続式単一反応器(内容積10,000cm^3)の運転条件を検討した結果、微生物への酸素や二酸化炭素の供給は5,000cm^3/min程度の空気吹き込みで充分であることや、希釈率が3day^<-1>(空間時間=1/3day)の場合に浸出速度が最大になることが明らかになった。
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