研究概要 |
テンサイにいおける形質転換の成否は供試するテンサイ遺伝子型に高度に依存しており、未だに普遍的技術とはなっていない。本研究の目的は、申請者らの開発した葉片培養系を利用して、効率的且つ普遍的なテンサイ形質転換システムを確立し、テンサイの分子・細胞育種技術として定着されることにある。 昨年度はテンサイ葉片培養系を用いてアグロバクテリウムによる形質転換を試み、25個の外植片から、形質転換体と考えられる6個のシュートを得た。いずれのシュートも選抜マーカーのハイグロマイシン抵抗性を示し、挿入ベクター配列を含むことがPCR実験とゲノミサックサザンブロック分析より確認された。今年度も同様の形質転換実験を繰返し、再び形質転換シュートを誘導したものの、シュートから不定根が分化せず、導入配列の遺伝性を調べるまでには至っていない。 一方、虫害抵抗性遺伝子として有望なシカクマメkunitz型キモトリプシンインヒビター遺伝子(WCI)は多重遺伝子族を形成している。現在までに、WCI-2,WCI-x,WCI-P1,WCI-P2,WCI-P3の5遺伝子を単離し、詳細な特徴づけが完了した。また、一部のWCI遺伝子についてはTiプラスミドへ連結し、形質転換実験に備えている。
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