研究課題/領域番号 |
05556011
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
千葉 誠哉 北海道大学, 農学部, 教授 (30001449)
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研究分担者 |
森 春英 北海道大学, 農学部, 助手 (80241363)
伊藤 浩之 北海道大学, 農学部, 助手 (10241366)
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キーワード | ムタロターゼ / アルドース1-エピメラーゼ / グルコース製造法 / グルコース変旋光 |
研究概要 |
(1)Glucoamylaseの縮合反応の動的解析と縮合反応の予測と評価 平成5年度に行った縮合反応の動的解析では反応速度式を確立したが、本年度はグルコースアノマーを異にする反応混合系での縮合反応についてさらに検討した。β-グルコースによる縮合反応系にα-グルコースが共存すると、その拮抗作用により反応速度が低下すると考えられた。たとえば、α-グルコースを用いたα-glucosidaseの反応系ではβ-グルコースによって縮合反応が著しく阻害されることが観察された。しかし、glucoamylaseについてグルコースのα-およびβ-アノマーの比を変化させ縮合反応に対するα-グルコースの影響を解析した結果は、予想に反してα-グルコースが縮合反応を促進する現象が観察された。この現象を解析した結果、α-グルコースがグリコアミラーゼの第1サブサイトに結合せず、専ら第2サブサイトに結合していると考えられ、第2サブサイトへの親和力がβ-グルコースよりも強いと推測された。 (2)Glucoamylase基質認識 (1)の解析結果は、glucoamylaseにおいてはβ-マルトースよりα-マルトースにより高い特異性のあることが予測された。返納速度論的な解析を行った結果、glucoamylaseはβ-マルトースよりもα-マルトースに関する最大速度と(V)と親和性(1/km)が共に大きく、従来多くのglucoamylaseで測定されている平衡状態のマルトースの動力学的パラメーターとは異なる値が得られた。この結果はこれまで知られていない事実があり、glucoamylaseの基質特異性やサブサイトを考えるうえできわめて重要な意味をもっていると考えられた。 (3)Mutarotaseの一次構造の解析と大腸菌へのクローニング 当初の計画にはなかったが、平成6年度からあらたにはじめた一次構造解析の結果をもとに、本酵素遺伝子の大腸菌へのクローニングと発現に成功し、そのcDNAの解析から本酵素の全一次構造を世界でははじめて決定した。さらにペプドシーケンサーによる一次構造の解析も行っており順調に進行している。また、本酵素を大腸菌により発現させることに成功したことは、グルコース増収のために必要なmutarotaseを大腸菌によって大量生産できる可能性が明らかとなった。
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