研究課題/領域番号 |
05556012
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊崎 和夫 東北大学, 名誉教授 (80005587)
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研究分担者 |
加藤 明徳 住友重機械工業研究所, 主任研究員
奥田 慎一 八戸工業大学, 工学部, 教授 (90005611)
金子 淳 東北大学, 農学部, 助手 (30221188)
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キーワード | リパーゼ生産菌 / 含油廃水処理 / Pseudomonas fragi / リパーゼB遺伝子のクローン化 / リパーゼB構造遺伝子 / リパーゼ活性制御遺伝子 / リパーゼ生産菌の遺伝子工学 |
研究概要 |
昨年八戸市郊外の土壤試料や、種々の魚の内蔵、水産加工場廃水から分離し、保存していた菌株33株についてリパーゼ活性を測定した。そのうち、1株はかなりの活性を示した。また、低温の20℃で分離した1株は37℃よりも20℃で2倍以上のかなりの活性をしめし、低温での含油廃水処理への可能性を示した。 含油廃水を能率的に処理するために、リパーゼ生産菌のリパーゼ活性を増大した改良育種をめざした遺伝子工学的検討を試みた。菌株としては、リパーゼB生産菌として知られているPseudomonas fragi 22-39Bを用いた。まず、この菌株のリパーゼB遺伝子のクローン化を行い、塩基配列を決定した。その結果、約1.0KbのリパーゼBの構造遺伝子の下流に約1.0Kbのリパーゼに関与していると推定される一つのオープンリーディングフレーム(ORF1)が見いだされた。次に、このORF1の機能を明らかにするために、リパーゼBの構造遺伝子の下流域を様々な長さで欠失させたプラスミドを作り、これらプラスミドを形質転換により、リパーゼ活性の発現に必要な最小領域を調べた結果、リパーゼ遺伝子領域のみではなく、その下流の領域(ORF1)も必要であることが分かった。すなわち、構造遺伝子のみ、ORF1のみ、構造遺伝子とORF1の両方を含むプラスミドをPseudomonas PAO4145に形質転換したところ、両者を含むもののみにリパーゼ活性が確認された。大腸菌の系では結果は明らかでなかった。構造遺伝子の外にORF1がリパーゼ活性の発現制御に重要であることが明らかにされ、リパーゼ活性の遺伝子工学的改良の可能性が示された。
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