研究概要 |
(1)N-アルキル-1-デオキシノジリマイシンを含有するシアリルLewisX及びシアリルLewisA糖鎖エピトープの系統合成と白血球・セレクチン接着阻害活性物質の探索:1-デオキシノジリマイシン(DNJ)のベンジルオキシカルボニル(Z)体を出発物質とし、L-フコース及びシアリルα(2,3)-ガラクトースをそれぞれ順次導入した。得られた保護シアリルLewis X及びシアリルLewisA糖鎖のN-Z基を選択的に除去し、ホルムアルデヒド,ブチルアルデヒド,デシルアルデヒドをそれぞれ反応させイミニウム塩形成と同時に水素添加を行ってN-アルキル化を行った。これらは保護基の脱離によって目的とするシアリルLewis X及びシアリルLewisA糖鎖エピトープ類縁体へと導かれた。E-セレクチンに対する接着力阻害活性は、シアリルLewis A型>シアリルLewis X型の順で強く発現された。N-アルキル基については、N-ブチル>N-デシル>N-メチルの順となり、糖鎖構造のみならず、疎水性基の重要性が明らかとなった。現在P-セレクチン,L-セレクチンの病態モデルへの応用を検討中である。 (2)シアリルα(2,3)-N-アルキル-DNJ及びシアリルα(2,3)-Galβ(1,4)-N-アルキル-DNJ誘導体の系統合成をトリパノソーマ・トランスシアリダーゼ阻害活性:構造活性相関の結果本酵素はシアリルα(2,3)-Galβ(1,X)-までを認識し、阻害性の発現は、後者の化合物群に見られたが、トリパノソーマ症を治療するには十分な活性とは言えない。 (3)スルファチドをリ-ド化合物とする薬剤の開発:levulinyl基を選択的に保護基とするスルフォルイスX及びスルフォルイスAの合成法を確立し、上記(1)に順じてそれぞれのN-アルキル誘導体を調製した。現在P-セレクチンの病態モデルを検討している。
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