研究概要 |
ポリエステルおよび綿繊維を用いた不織布に各種培養資材,種子,菌根菌を組み込んだ被覆資材の土壌侵食防止・緑化効果および樹木の初期生育に対する効果,土壌の温湿度環境に及ぼす効果などについて,モデルと現地での施工試験を実施した。(1)マサ土斜面の表土を資材で被覆すると,時間当り50〜100mmの降雨でも土壌流失は生じず,侵食が防止された。(2)被覆資材は夜間の土壌温度の低下を防ぎ,寒冷地などでは微生物活性の低下防止や,春先の植物根の活動を早めるなどの効果が期待されるとともに,乾燥条件下でも水分保持能が高く,植物の生育を良好にすることが示された。(3)資材に組み込んだ菌根菌は,種子の発芽後,植物根に感染して初期生育を促進することが示された。 (4)被覆資材で移殖2年目のマツ根域表面を被覆すると,幼木の生育が明らかに促進された。(5)本年度の雨期および夏季の集中豪雨にもかかわらず,山口,大津,愛媛,鹿児島における現地施工現場の土壌侵食はほとんど生じず,本被覆資材の土壌侵食防止効果は極めて大きいことが示された。
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