研究課題/領域番号 |
05556030
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
白石 信夫 京都大学, 農学部, 教授 (70026508)
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研究分担者 |
島本 周 ダイセル化学工業(株)研究本部総合研究所, 研究員
吉岡 まり子 京都大学, 農学部, 助手 (30220594)
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キーワード | 生分解性プラスチック / 循環系材料 / 練り込み反応 / 可塑化 / ブリードアウト / 内部可塑化 / 外部可塑化 / セルロースアセテート |
研究概要 |
平成7年3月に通産省関連団体である生分解性プラスチック実用化委員会の報告書が出された。そこでは生分解性プラスチックの現状が具体的に分析され、その実用化は、今後5〜10年という年月をかけて着実に進めるべき課題としている。その様な状況下、天然物由来のものは炭酸同化作用による炭酸ガスの固定化、材料としての使用、最終的な生分解ないし焼却による分解(CO_2)という循環系の材料であるという点が段々と意識されるようになって来ている。セルロースアセテート(CA)などから生分解性プラスチックを作るという本研究の存在意義が年を追うごとに高まって来ているといえる。その様な中で、本研究では、二塩基酸無水物とモノエポキシドなどを用い、練り込み反応で可塑化したCAからの成形物は長年月を経ると表面が白濁するなど、外部可塑剤のブリードアウトが問題となった。これを解決するための検討を行った結果、混練時に温度や時間を高めて、上記可塑剤がCA中に化学結合で導入される量(オリゴエステル鎖グラフト量)を大きくするほど、外部可塑剤(ホモオリゴエステル)が安定に存在する様になり、そのブリードアウトが起こらなくなることが知られた。この関連でグラフト化オリゴエステルとホモオリゴエステルを正確に区分・定量する手法が、溶解・再沈殿法という形が発展した。もう一つの方法はホモオリゴエステルと反応しうる、例えばエポキシド、不飽和有機酸などを導入されたポリエチレングリコールを混練反応の一成分として用い、特に遊離のホモオリゴマーの分子量を高めたり、軽度に架橋する方法であるが、大変有効であった。他方、昨年度の検討の延長線上で各種モノエポキシドのみによる練り込み反応、それとε-カプロラクタムを併用する可塑化を検討し、後者が相対的に分子容の大きなモノエポキシドの反応も可能にし、大変効果的であることを知った。
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