研究概要 |
木材に高い耐久性や機能性を付与するためには,一般にそれぞれの目的に応じた薬剤を木材中に迅速,かつ均一に拡散・浸透させる必要がある.しかし木材は樹種,同一樹種でも部位(心材,辺材など)によって,また薬剤の種類によって注入性が異なり,木材中への注入は多くの場合極めて困難である.木材に圧縮処理を施した後,注入処理を施すと木材の注入性をかなり改善できる.そこで,本年度は処理法の適用範囲,汎用性,実大材(長さ約1m)の適用試験などの検討を行った.得られた結果を要約すると,以下の通りである. スギ,カラマツ,ベイマツのいずれも心材を用い,気乾材,飽水30℃下の材,飽水80℃下の材に圧縮度50%を与えた後,液体浸透量を測定するとスギ材では気乾,飽水30℃,飽水80℃条件の順に浸透量が増大するが,カラマツ,ベイマツ材では飽水30℃条件下で最大で,飽水80℃条件下で最小を示し,樹種によって最適圧縮条件が異なることが明らかになった.スギ圧縮処理材について検討した処理材の材質は,気乾材について圧縮したものを除き,圧縮変形がほぼ完全に回復した材では木材3構造方向いずれについても材質低下が極めて小さいことを確認した.カラマツ実大材による圧縮処理材の注入実験による(写真.1)と,圧縮材の浸透量は著しく増大する.このことは染料溶液,CCA防腐剤のいずれにもいえる 技術の汎用性,装置試作に関係して一定の圧縮率を繰り返し与えたとき,圧縮率を30%-0%-40%-0%-50%と漸増繰り返し処理を行ったときの圧縮時の応力や浸透量などを引き続き検討している.これは圧縮処理を連続して行うロールプレス方式の装置試作の基礎資料となる. また,圧縮法の浸透促進機構の解明は,合理的な処理法を決定する上から重要なことであるので,本年度購入した備品を使用して,より定量的な浸透,透過性の評価と木材内部の構造,特に有効通路の変化の様子を具体的に解明している.
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