研究概要 |
本年度は以下の項目を実施した。車両の自律走行の基礎技術となる位置検出について,光波距離計を用いた外界センサ方式を採用するには,光波を照射して距離を検出するために目標物の方向を知る必要がるので,動画像処理法を用いた車両の追跡を試みた。高速車両では3枚の画像を処理して方向を検出する方法が一般的であるが,農作業中の農業機械は低速であるので,2枚の画像から方向を検出する方法を実施し,3枚の画像処理結果との比較を行ない,2枚の画像処理にて方向を検出できることを確認した,これにより、検出時間の短縮が計れることになった。また,角速度計と速度計を用いた内界センサ方式についても実験を確認し,目標追従経路制御時の誤差の原因は,角速度計の温度変化によることを突き止めた。そこで,恒温器を用いて角度計の温度特性を計測し,温度特性の補償法についての目処を付けた。車両の姿勢制御とマニピュレータとの協調制御については,マニピュレータの運動が台車の上下運動に与える影響と,台車の上下振動がグリッパの位置決めに及ぼす影響についての実験と解析を行なった。また,重量果実収穫用グリッパは,改良機を製作,把持機能の改善を計るとともに,グリッパの果実との位置ずれへの対応範囲を拡大した。対応限度については理論と実験の両面から確認した。つぎに,農業用ロボットの実用化の際に必要なマニピュレータの質量の軽減については,強度部材に鋼管を用い,トラス構造を基本とするマニピュレータを試作し,質量軽減のための指針を得た。 要素技術の室内実験とあわせて,自律走行実験と果実収穫実験については,ほ場実験により機能確認を行なった。この際データの多点同時計測により計測精度と実験効率の向上を計った。
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