研究概要 |
今年度は,水稲の葉色を人為的に変化させることを容易にするため,プランターを使用して水稲を栽培した。プランターは横置きに10個並べて1区画とした。これを2×3区画並べて縦9m,横1.6mの水田を模倣した実験圃場を作った。植え付けた水稲の株数はプランター1個当たり3株とし,条間300mm,株間300mmとした。画像撮影は太陽を背にして行った。ビデオカメラの高さは1.5mで,斜め下向きに撮影した。その他の実験方法は設定は,過去2年間と同一にした。 実験は1995年6月30日から9月5日までの間に10回行った。測定環境を多様にするため,測定時刻は10時から16時までの任意の時刻とした。また,測定日の天候は,曇から晴天まで変化をもたせた。ビデオカメラの光軸と太陽光線のなす角度は20〜60°,太陽の高度は55〜74°であった。 デジタル画像のRGB濃度値から葉緑素計の測定値を推定するために,重回帰式を求めると次のようになった。 Sa=28.857-0.617Ra+0.301Ga+0.566Ba ここで,Sa:葉緑素計測定値の推定値(目的変数),Ra,Ga,Ba:R,G,B濃度値の平均値(説明変数)である。このとき,観測数は37で,得られた重相関係数は0.951,決定係数は0.905であった。この式を過去2年間に行った水田での実験に適用した。葉緑素計測定値と推定値の平均残差は1.641〜3.549であった。また,今回得られた葉緑素計推定値の残差の平均値は,葉色カラースケール値が有する観測値の幅より小さいことがわかった。したがって,葉色値の測定精度は葉緑素計にはおよばないものの,葉色カラースケール以上の測定精度が得られることがわかった。本測定法は実際の水稲栽培においても実用的に使用可能であると考えられる。
|