研究概要 |
本研究では,水稲栽培における水稲群落の肥培管理の高度化と省力化を図るため,コンピュータを利用した画像処理を応用することを試みた。プランターを仕様して水稲を栽培し,ビデオカメラによる撮影と葉緑素計による測定を行った。水稲群落のデジタル画像のRed,Green,Blue濃度値と葉緑素計の測定値との相関関係を調べ,画像から葉緑素計測定値を推定する重回帰式を求めた。 実験は1995年6月30日から9月5日までの間に10回行った。測定環境を多様にするため,測定時刻は10時から16時までの任意の時刻とした。また,測定日の天候は,曇から晴天まで変化をもたせた。得られた重回帰式は次のようになった。 Sa=28.857-0.617Ra+0.301Ga+0.566Ba ここで,Sa:葉緑素計測定値の推定値(目的変数),Ra, Ga, Ba: R, G, B濃度値の平均値(説明変数)である。このとき,観測数は37で,得られた重相関係数は0.951,決定係数は0.905であった。 この重回帰式を1993年と1994年に行った水田での実験に適用した。葉緑素計測定値と推定値の平均残差は1.641〜3.549であった。また,今回得られた葉緑素計推定値の残差の平均値は,葉色カラースケール値が有する観測値の幅より小さいことがわかった。したがって,葉色値の測定精度は葉緑素計にはおよばないものの,葉色カラースケール以上の測定精度が得られることがわかった。本測定法は実際の水稲栽培においても実用的に仕様可能であると考えられる。
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