研究分担者 |
前多 敬一郎 名古屋大学, 農学部, 助教授 (30181580)
佐藤 衆介 東北大学, 農学部, 助教授 (80136796)
田谷 一善 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60092491)
武内 ゆかり 東京大学, 農学部, 助手 (10240730)
西原 真杉 東京大学, 農学部, 助教授 (90145673)
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研究概要 |
本研究では,種々のストレッサーが生体に及ぼす影響について,自律機能の中枢である視床下部の神経活動を指標として神経行動学的に解析する系の確立を目指している。本年度の主要な成果は以下の通りである。 1)行動学的検討:グラム陰性菌由来のエンドトキシンであるリポ多糖(LPS)を投与した際に出現する行動変化について,無拘束のシバヤギを用いて詳細な行動学的解析を行ない,病態行動の数値化を試みた。LPS投与により再現性の高い一過性の病態行動を惹起できることが明らかとなり,またより生理的条件に近い病態反応を調べる目的でLPSの36時間にわたる持続投与を行い,単回投与の場合と同様な指標についてその経時的変動を詳細に解析した結果,これらの系が有用な実験モデルとなりうることが示唆された。 2)生理学的検討:上記の実験モデルについて,自律神経系(心拍数,呼吸数,体温),内分泌系(ACTH,Cortisolの血中濃度),免疫系(白血球数,単球比率)などについてLPS投与の影響を解析し,これらパラメターの相互関係について検討を行った。その結果,免疫系,内分泌系および自律神経系の賦活が一定の時間的配列に従って発現することが明らかとなった。 3)免疫学的検討:重要なサイトカインであり脳内へ免疫系の情報を伝達する役割も推測されているインターロイキン-1αおよびβ,腫瘍壊死因子について,ヤギではまだアミノ酸配列が不明であることから遺伝子クローニングを行って塩基配列およびアミノ酸配列を決定し,昆虫細胞および大腸菌の系を用いて遺伝子発現を行い,生物活性を有する各サイトカインを回収することに成功した。 4)神経内分泌学的検討:上記の実験モデルを適用してLPSが視床下部神経活動に与える影響について,多ニューロン発射活動を指標に検討した結果,LPS末梢投与の情報は中枢へと伝達されて視床下部GnRHパルスジェネレーターを抑制することが明らかとなった。
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