研究課題/領域番号 |
05556049
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 雅保 京都大学, 農学部, 助教授 (10243073)
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研究分担者 |
南 直治郎 京都大学, 農学部, 助手 (30212236)
細井 美彦 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (70192739)
入谷 明 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (80026385)
後藤 和文 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (30162142)
鈴木 達行 山口大学, 農学部, 教授 (00216409)
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キーワード | 遺伝子増幅法 / 性分別 / 移植システム / ウシ精巣決定遺伝子(bSRY) / ウシ胚 / 凍結保存 |
研究概要 |
本研究の目的は、遺伝子診断された胚を移植することによって家畜の効率的な改良増殖を行うための理論と技術を確立することにある。 ウシの体外受精由来胚盤胞胚ならびに胎水(羊膜あるいは尿膜水)中の浮遊細胞を検体とし、御性特異的塩基配列をプローブとしたPCR法による性判定を行った。雄性特異的DNAプローブとして、ヒト精巣決定遺伝子配列を基にクローニングされたウシ精巣決定遺伝子配列(bSRY)からプローブを選択し、PCR反応時間の短縮を目的に、キャピラリー型増幅器を用いてPCRを行なった。さらに、性判定された胚の移植成績と産児の性を検討した。その結果、PCRのためにバイオプシーされた胚の移植高効率は無処理胚のものとほとんど差異は認められず、全例において産児の性はPCRによって予知されたものと一致した。またキャピラリー型遺伝子増幅器によってPCR反応時間が従来の4時間から40分に短縮され、胚回収後、短時間で性判別胚を移植できることが示された。一方、胎児の性判定を胎水中の細胞を検体としたPCRを試みた結果、増幅されたDNAから判定した胎児の性は得られた産児の性と全て一致した。これらのことから、PCR法は、ウシの初期胚の性判定とともに、妊娠中における胎児の性判定にも利用できることが明らかになった。 さらに、ウシ初期胚の受精から透明帯脱出までの発生速度と胚の性比との関係をPCR法を用いて調べたところ、発生速度が速い群には雄性胚が多く、発生の遅い群には雌性胚が多いことが明らかにされた。またPCR法によって性判定された胚の凍結保存法についても検討した。従来から用いられていた凍結保護剤であるエチレングリコールとトレハロースに加えてポリビニールピロリドンを用いることによって凍結融解後の胚の生存性及び発生能が非常に高くなることを明らかにした。
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