研究概要 |
本研究は,現在基礎研究として実施されている牛の核移植技術を発展させ,実用的なクローン牛作出技術を開発することを目的として実施する.すなわち,1個の胚から85個の胚を複製し,これを牛に移植して最終妊娠率を30%と推定して,26頭のクローン牛を作出することを3年間の目標とする. 本年度は,いずれの研究分担者も,当初計画した研究目標をほぼ達成しており,核移植卵の胚盤胞への発生率も10〜20%と向上してきている.また,分担者間の研究協力も順調に機能している.得られた主な結果は次のとおりである. 1.レシピエント卵細胞質として活性化卵を用いた場合,核移植卵の発生率が高かった(河野). 2.ドナー胚の発生ステージが核移植卵の発生能に影響することが判明した(青野). 3.ドナー胚の細胞周期が核移植卵の発生能に影響することが判明した(高野). 4.成長因子TGF-beta,bFGF,EGFスペースは核移植卵の発生能を向上させなかった(角田). 5.関沢・河野・青野・中原は,核移植胚53個を33頭の受胚雄に移植して一卵性双子を含む7頭の産子を得,高野・角田は,14頭の核移植胚を9頭の受胚雌に移植して2頭の産子を得た. 6.核移植胚の凍結保存ならびに継代核移植については,現在実施中である.
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