研究分担者 |
土屋 利江 国立衛生試験所, 部長
石橋 誠 京都大学, 医学部, 助手 (30232341)
山本 雅子 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (50130901)
有嶋 和義 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (10124265)
森 千里 京都大学, 医学部, 助教授 (90174375)
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研究概要 |
培養胎児器官に対する化学物質の影響 (1)胎齢による感受性の差 胎齢12.5日及び13.5日のマウス胎児口蓋を48〜72時間回転培養し,5-fluorouracilとcycloheximideに対する感受性を調べたところ,12.5日胎児口蓋の方が化学物質の毒性に対する感受性が高いことが明らかになり,in vitroの発生毒性スクリーニングには,12.5日胎児の口蓋がより適していると判断された。 (2)発生毒性スクリーニング系としての胎児器官培養系の有用性 12.5日のマウス胎児器官培養系に,4種の抗けいれん薬ジフェニルヒダントイン(DPH),フェノバルビタール(PB),バルプロ酸(VPA),ジアゼパム(DAZ)を種々の濃度で添加したところ,毒性効果はDPHが最も強く,次いでVPA,DAZの順であった。また、それぞれの毒性発現濃度をヒトの臨床投与条件下における血中濃度と比較することにより、ヒトでの催奇形性のリスク予知に応用し得ると考えられた。 in vivoで発生毒性を示す約20種の化学物質について同様の検討を行ったところ,培養器官に対する毒性の強さはin vivoの発生毒性の強さと相関していた。これらの結果から,マウス胎児口蓋の器官培養系は発生毒性スクリーニングのための代替試験法として有用であることが明らかになった。 2.口蓋閉鎖メカニズムの解析 マウス胎児口蓋を培養し,培地に上皮成長因子(EGF)20〜80ng/mlを加えたところ,濃度依存的に口蓋閉鎖が抑制された。また,培地にレチノイン酸(RA)を添加したところ,口蓋上皮の分化転換が阻害され,口蓋裂が誘発された。これらの結果から,本胎児器官培養法が,形態形成メカニズムの解析にも有用であることが示された。
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