研究課題/領域番号 |
05557005
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
永坂 鉄夫 金沢大学, 医学部, 教授 (80023646)
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研究分担者 |
田辺 実 金沢大学, 医学部, 助手 (20217110)
櫻田 惣太郎 金沢大学, 医学部, 助手 (00215691)
紫藤 治 金沢大学, 医学部, 助教授 (40175386)
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キーワード | 体温 / 至適温度 / 行動 / 体温調節 / 温度勾配装置 / ラット / 発熱物質 |
研究概要 |
飼育環境に温度勾配をもたせる実験装置(いわゆるサーモクリン)を試作し、それを用いてラットなど小動物に自由に環境温度を選択させ、選択した温度すなわち至適環境温度と熱産生量、熱放散量、体温、摂食量、行動量との関連、日内変動、特殊環境への馴化によるそれらの変容などにつき追求し、行動性体温度調節と自律性体温調節の関わり合いを理解することを目的にこの研究を行った。えられた結果は以下のごとくであった。 平成5年度に完成したサーモクリンを、この研究の目的にさらによく合ったものにすべく、付属装置を含めて改良した。改良の結果この装置は、常温の室内では、20℃から32℃までほぼ直線的な温度勾配を維持し、ラットの至適温度とともに体温の連続測定(腹腔内に埋め込んだテレメータ用温度センサーによる)が出来るようになった。ラットの体温は活動期に高く非活性期に低かったが、選んだ環境温度は活動期に低く非活動期に高かった。活動期にラットの腹腔内に発熱物質(LPS 10μg/1)を投与したところ、ラットが選んだ至適環境温度は体温が上昇する以前に高温側に移動し、解熱がおきる以前に旧のレベルにもどった。ラットの非活動期に発熱物質の投与を行うと、発熱のパターンは同じであったが、選択環境温度には変化がおきなかった。その意義については現在まだ十分には把握しておらず、今後検討を続ける予定である。発熱物質の大量投与では体温と選択環境温度はともに下降したが、下降の理由については検討中である。さらに絶食時には、はじめラットは高い至適温度を選択したが後には低いそれを選び、絶食を始めてからの時期により体温のセットポイントが移動するごとき結果が得られた。この機序についても今後さらに検討する。
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