研究課題/領域番号 |
05557010
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
春藤 久人 神戸大学, 医学部, 助教授 (70206259)
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研究分担者 |
斉藤 尚亮 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (60178499)
久野 高義 神戸大学, 医学部, 教授 (50144564)
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キーワード | Ca^<2+>結合蛋白質 / カルシニューリン / FK506 / アダプチン / リピットキナーゼ / エンドサイトーシス |
研究概要 |
本年度は以下の成果を得た。 1.神経特異的Ca^<2+>結合蛋白質NVP-1の病態における変化:精神分裂病様の症状を惹起する薬物Phencyclidine(PCP)投与により精神分裂病モデルラットを作製し、NVP-1の発現の変化を調べたところ、側座核においてNVP-1mRNAが有意に減少していた。このことはPCPによる精神病の病因にNVP-1発現の変化が関与することを示唆する知見である。 2.分泌小胞リサイクリングに関与する機能蛋白質遺伝子のクローニングとその機能の解明:突然変異を誘発した分裂酵母細胞から6種類のFK506感受性かつ温度感受性を与える遺伝子座位を単離し、itsl-its6(immunosuppressant-and temperature-sensitive)mutantsと名付けた。これらを宿主として用いた機能相補スクリーニングにより、数種類の遺伝子の単離に成功した。its1+遺伝子はAP-2と呼ばれるアダプター蛋白質のサブユニットの一つである、β-adaptinをコードしていた。N末端側の580アミノ酸の領域は種を越えて非常によく保存されていた。its3+遺伝子産物はヒトphosphatidylinositol4-phosphate5-kinase(PI(4)P5-kinase)のキナーゼドメインと高い相同性を有していた。its1及びits3の二重変異は合成致死を示した。its1変異体のFK506感受性はits3+遺伝子の過剰発現により相補された。これらの遺伝学的解析から、β-adaptinとPI(4)P5-kinaseがcalcineurinと関連して、エンドサイトーシス及び分泌小胞リサイクリングの細胞機能に重要な役割を果たしていることが示唆された。現在、さらに他のits遺伝子の単離及び同定を進めているところであり、分泌小胞リサイクリングのメカニズムの解明に繋がることが予想される。
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