研究分担者 |
山下 幸和 日本化薬総合研究所, 主任研究員
浜中 信行 小野薬品工業, 創薬研究所, 所長
平松 真 小野薬品工業, 試薬研究室, 研究員
沢田 正文 小野薬品工業, 水無瀬研究所, 主任研究員
林 陽子 徳島大学, 医学部, 助手 (60035441)
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研究概要 |
アラキドン酸由来の生理活性物質で、主として血小板で生成するトロンボキサンA_2(TXA_2)は、血小板を凝集させ血管を収縮させる。また、主として血管内皮細胞で生成するプロスタサイクリン(PGI_2)は、血小板凝集を阻害し血管を拡張させる。両物質の生体内の動態を追究し、各種循環器疾患との関連を解明し、また、薬物の効果を判定しようと試みられている。本研究計画では、化学的に極めて不安定なTXA_2とPGI_2の分解産物のTXB_2と6-ケト-PGF_<1α>よりも、もっと代謝的半減期の長い代謝産物の11-デヒドロ-TXB_2と2,3-ジノル-TXB_2および2,3-ジノル-6-ケト-PGF_<1α>の生体試料から簡便な抽出精製法と感度のよい測定法を、モノクローン抗体を利用して開発することを研究目的とする。 初年度の2,3-ジノル-6-ケト-PGF_<1α>に対するモノクローン抗体調製に続いて、平成6年度はその抗体を使った免疫親和性クロマトグラフィーによる生体試料からのアラキドン酸代謝物の抽出精製を試みた。抗2,3-ジノル-6-ケト-PGF_<1α>をBrCN活性化セファローズ4Bに結合させて固相化し、1mlのセファローズ4Bに860μg IgGの結合したカラムを標準カラムとして用いて、そのカラムに少なくとも60pmolの2,3-ジノル-6-ケト-PGF_<1α>が結合し得た。カラムからの溶出条件を検討して、尿に含まれる2,3-ジノル-6-ケト-PGF_<1α>をSEP-PAK C_<18>カラムで前処理してから上記の固相化抗体カラムで抽出すると、酵素免疫測定法を妨害する不純物と分離され、70%程度の収率で回収された。このように尿から抽出された試料を酵素免疫測定法に供すると、増量実験と添加回収実験、さらにGC-MSでの検定で、満足すべき結果を得た。なお、このモノクローン抗体を用いる免疫親和性クロマトグラフィーは、関節炎患者の滑液中のプロスタグランジンE_2とロイコトリエンC_4の抽出にも適用された。
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