研究課題/領域番号 |
05557014
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
木戸 博 徳島大学, 酵素科学研究センター, 教授 (50144978)
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研究分担者 |
二宮 健二 東京田辺製薬(株), 研究開発本部, 主任研究員
鴨下 恵一 日本化薬(株), 総合研究所, 研究員
助永 義和 日本化薬(株), 総合研究所, 主任研究員
唐渡 孝枝 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助教授 (60108876)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | インフルエンザウイルス / トリプターゼクララ / Anti-leukoprotease inhibitor / プロテアーゼ / プロテアーゼインヒビター / 生体防御 / 気道分泌液 / bronchial lavage |
研究概要 |
インフルエンザウイルスの活性化酵素(トリプターゼクララ)を見出し、その阻害物質を2種類ヒトの気道分泌液中に見出して精製し、構造決定を行いその有効性を検定した。阻害物質の1つは、気道分泌液に含まれる肺サーファクタントであった。肺サーファクタントはトリプターゼクララ活性を阻害し、抗インフルエンザ作用を示したがその作用は、プロテアーゼインヒビターとしてよりむしろトリプターゼクララの吸着物質として作用し、結果的にトリプターゼクララの阻害作用を示した。肺サーファクタントの抗インフルエンザ作用は動物実験モデルでも確かめられた。他の阻害物質は、肺サーファクタントとは異なる分子量約12kDaの強力な低分子インヒビターで、これを精製し構造を決定した。アミノ酸一次構造解析の結果、このインヒビターはこれまでにエラスターゼの阻害剤として報告のあったAnti-leukoprotease inhibitor (ALP)と同一物であることが判明した。ALPはアミノ末端領域とカルボキシ末端領域にそれぞれクリングル構造を持つインヒビターであるが、トリプターゼクララ阻害作用は、カルボキシル末端側のクリングル構造体にあることが判明した。ALPの遺伝子を分離し、C末端領域ペプチドの大腸菌での発現を試みトリプターゼクララに対する阻害物質を得た。このC末端領域ペプチドは、インフルエンザアジア株のMDCK細胞への感染を抑制し、ほぼ1μMの濃度で完全抑制した。一方幼弱ラットへのインフルエンザウイルスの感染に対して5μgのALPを8時間おきに15回投与することでほぼ完全な抑制効果を得た。今後C末端側のALPの各種誘導体を作成し、より強力なインヒビターの作成を試みる。以上これまでに気道分泌液よりインフルエンザの感染を抑制する生体防御物質を2種類同定し、その有効性について検討を進めた結果、トリプターゼクララを阻害する2種の阻害物の抗インフルエンザ作用を確認した。
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