研究概要 |
HTLV-Ienv gp46のN端半分に相当する部分合成ペプチド:Cys-Arg-env gp46(188-209)、2.Ac-Cys-env gp46(188-224)、3.Arg-env gp46(228(Cys)-250)、4.Ala-Cys-env gp46(237-262)、5.env gp46(253-276(Cys))、6.env gp46(276(Cys)-288)、7.env gp46(277-289(Cys))、8.gagp19(100-130)、9.pol(487-507)-CysがHTLV-I感染の診断のための抗HTLV-I IgGの検出にどれだけ抗原として有効か検討した。申請者らが独自に開発した新しい超高感度免疫複合体転移酵素免疫測定法を用いた。ゼラチン粒子凝集法(PA)で強陽性の血清40例、PAで弱陽性、ウエスタンブロツト法(WB)で陽性の血清20例、PAが弱陽性、WBで陰性、あるいはPAで陰性の血清40例、PAで弱陽性、WBで不確定あるいは陰性の血清6例、PAで弱陽性、免疫螢光法(IF)で陽性の血清58例、PAで弱陽性、IFで不確定あるいは陰性血清37例、PAで陽性の血清31例に対応する29例の10倍濃縮尿をテストした結果、特に有効であった2.、4.、8.の3つの合成ペプチドのうち少なくとも2つの合成ペプチドで同じ結果が得られることを判定基準とすると、従来法(PA,WB,ELISA法)と同等あるいはそれ以上の確からしさでHTLV-I感染を診断できる見通しが得られた。また、従来法のうち免疫螢光法の結果ともほぼ一致することが分かった。そればかりでなく、免疫螢光法あるいは従来確認テストとして使われているWB法では不確定か陰性として従来見逃されてきた血清のなかに、複数の合成ペプチドに対して反応し、陽性として拾い上げることができる血清のあることがわかつた。さらに、血清と比べてIgG濃度が千分の1から3万分の1と格段に低い尿に対しても、合成ペプチドを抗原とする超高感度免疫複合体転移測定法が、かなりな程度に役立つことが明かとなった。
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