研究課題/領域番号 |
05557018
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小島 莊明 東京大学, 医科学研究所, 教授 (00009622)
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研究分担者 |
服部 正策 東京大学, 医科学研究所, 講師 (00164864)
古田 隆久 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (30143514)
松本 直樹 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40239108)
北 潔 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (90134444)
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キーワード | 日本住血吸虫症 / モノクローナルIgE / パラミオシン / ワクチン / リスザル |
研究概要 |
これまでに我々は、マウスに受動免疫を賦与できる抗日本住血吸虫モノクローナルIgE抗体(SJ18ε.1)の認識する標的分子(97kDa)が、住血吸虫症のワクチン候補分子パラミオシンであることを明らかにした。すなわち、この抗体を用いて日本住血吸虫のcDNAライブラリーをスクリーニングし、標的分子の全長をコードするcDNAクローンを得、その全塩基配列を決定し、それから想定されるアミノ酸配列がマンソン住血吸虫パラミオシンのそれと高い相同性を示すことを明らかにした。今年度は、SJ18ε.1の認識するエピトープを明らかにするため、部分的に欠損した組換え体パラミオシンをGSTもしくはβ-galとの融合蛋白として発現させ、SJ18ε.1が71アミノ酸から成るペプチド(A^<343>-D^<413>)と反応することを確認した後、この部分について7アミノ酸から成るオリゴペプチドをマルチピンシステムを用いて順次合成して、この抗体が認識するエピトープが4アミノ酸から成ることを見出した。そこで、リスザルを用いて、このエピトープを含む組換えパラミオシンの免疫原性について検討したところ、特異抗体の産生がみられ、抗原特異的T細胞の増殖がみられることから、パラミオシンがリスザルにおいても強い免疫原性を有していることが明らかとなった。さらに、リスザルをX線照射セルカリアで免疫し、日本住血吸虫の攻撃感染に対して防御免疫が誘導されることを確認すると共に、詳細な病理学的検討を加えた結果、対照群では好中球の著しい浸潤を主体とする多数の虫卵結節形成と周囲組織への著しい出血が認められるのに対し、免疫群では虫卵結節は小さくその数も極めて少なく、また結節内の細胞はリンパ球が主体であり、好酸球の浸潤も認められることが明らかとなった。これらのことから、リスザルは、住血吸虫症ワクチン開発のためのよいモデルとなることが判明した。
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