研究課題/領域番号 |
05557021
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩本 愛吉 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10133076)
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研究分担者 |
清水 洋子 東京大学, 医学部(医), 助教授 (00142357)
吉倉 廣 東京大学, 医学部(医), 教授 (60012754)
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キーワード | hepatitis C virus / HCV / neutralizing antibodies |
研究概要 |
(1)輸血後C型肝炎患者の急性期(H77)と13年後の慢性期血漿(H90)をウイルス標品として用い、同じ患者の経時的な血清(1978年:H78、1979年:H79、1982年:H82、1989年:H89、1990年:H90、1991年:H91)によるウイルス吸着阻止能を測定した。テスト血清中のHCVは熱処理(56℃、30分)により不活化し、吸着能はRT-PCR法によるHCV・RNAの検出により行った。H77ウイルスのHPB・Ma細胞への吸着は、輸血後5年以内の血清(H78、H79、H82)によって阻止されたが、12年以降の血清(H89、H90、H91)では阻止されなかった。H78、H79、H89の血清中の抗体はH77ウイルスと免疫複合体を作っていることが確かめられた。H90ウイルスの吸着は、H91血清で阻止され、H89血清では阻止されなかった。従って、HCVの持続感染においてはウイルスの変異に対して各々後から特異的な中和抗体の産生が起こることが示唆された。 (2)少なくとも6種類のHCV準種の存在する慢性肝炎患者血漿を、チンパンジーに感染実験するとともにHPB-Ma細胞を用いて試験管内増殖実験を行った。その結果、チンパンジー、HPB-Maいずれにおいても6種類中2種類のHCVしか存在しなかった(準種の数は超可変領域の塩基配列により決定した)。従って、我々の試験管内培養系が生体におけるHCVの感染性を反映することがさらに確認された。 (3)インターフェロンによるHCVの増殖阻害が試験管内増殖系によっても確認できた。
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