研究課題/領域番号 |
05557023
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高津 聖志 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10107055)
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研究分担者 |
刈米 アイ 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (50114450)
阿久津 郁夫 独協医科大学, アレルギー内科, 助手 (90184126)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | I型アレルギー / 遅発型喘息 / 好酸球 / IL-5 / 抗IL-5抗体 / 気道過敏症亢進 / モルモット喘息モデル |
研究概要 |
1.モルモットの遅発型喘息モデル実験系を解析した。卵白アルブミン(OVA)をネブライザーを用いて10日間連続的に気道感作し、その5日後に同様にOVAでチャレンジし、24時間以内に見られる気道粘膜への好酸球侵潤、気道抵抗、気道過敏性を解析した。OVAチャレンジの8時間前に抗IL-5抗体を投与しその効果を調べた。モルモットを経気道的にOVA感作およびチャレンジすると、OVAチャレンジ後1時間(即発型)および9-12時間(遅発型)をピークとする2相性の好酸球浸潤が気道粘膜下で観察された。抗IL-5抗体投与により遅発型の好酸球侵潤は阻害されたが、即発型のそれは影響を受けなかった。次に気道抵抗を測定したところ、OVAチャレンジ後2相性の気道抵抗が観察され、半数のモルモットにおいて抗IL-5抗体投与により気道抵抗性が解除された。気道過敏性をアレテイールコリンに対する感受性の亢進を指標に調べたところ、抗IL-5抗体投与により半数例において約50%にまで低下していた。これらの結果、モルモットの遅発型喘息発症モデルにおいて、IL-5およびIL-5以外のサイトカインないし微小環境の関与が強く示唆された。抗IL-5抗体の投与は遅発型好酸球侵潤の抑制をもたらし、気道抵抗性の減弱と気道過敏性の低下を惹起しうることが明らかになった。 2.IL-5遺伝子導入トランスジェニック(IL-5-Tg)マウスは恒常的にIL-5産生があり、末梢血好酸球増多や多くの組織への好酸球侵潤を示す。IL-5-TgマウスをOVA感作(経気道)しても気道過敏性の増加は見られなかった。しかし、IL-5-Tgマウスを予めアジュバントとともにOVAで免疫し引き続いてOVA感作(経気道)した時のみ気管支肺胞洗浄液(BALF)内への好酸球侵潤、気道過敏症の著明な促進とともに気道粘膜内への好酸球侵潤がみられた。野生マウスに同様のスケジュールでOVA免疫とOVA感作をしても気道過敏症の促進、気道粘膜内への好酸球浸潤は全くみられなかった。このことから、このIL-5-Tgマウスを用いた遅発型喘息発症モデルにおいても、IL-5とIL-5以外のサイトカインか微小環(OVA免疫で惹起されうる)が遅発型喘息の発症に必須であることが示唆された。 3.ヒト可溶性IL-5レセプターα鎖(h-sIL-5Rα)を精製しマウスに免疫後、常法により抗h-sIL-5Rα抗体を作成することに成功した。hIL-5の作用を阻害する抗体、好酸球上のhIL-5Rαを同定できるものなど全部で10種類以上の抗体の作成に成功した。 4.B細胞上の抗原レセプターを介する細胞シグナル伝達系に異常のある伴性免疫不全(XID)マウスのB細胞はIL-5に低応答を示し、それがIL-5レセプターからのシグナル伝達の異常によることを明らかにした。しかしながら、XIDマウスにおいてもIL-5の腹腔内投与により好酸球産生が見られそれは野生型マウスで見られるものと同程度であること、XIDマウスの好酸球はIL-5に応答しその試験管内生存が維持できることがわかった。これらのことから、B細胞と好酸球では異なるIL-5シグナル伝達系が存在すること、XIDマウスではB細胞特異的にIL-5レセプターを介するシグナル系に異常があることがわかった。
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