研究概要 |
ドライケミストリー法による血中成分の測定は近年目覚ましい発展をなしてきており、いくつかの血中逸脱酵素については既にドライケミストリー法による試験紙が作成され、市販されている。従って、本研究の目的であるドライケミストリー法による血中逸脱酵素群の変化を指標とした肉体疲労度を評価するための試験フィルムが作成できる可能性は非常に大きいと思われる。 平成5年度においては、慢性的肉体疲労のモデルとして、一大学の陸上部に所属するトップクラスの長距離選手20名を対象者として研究を行った。長距離選手の場合は、疲労度が記録として客観的に判断し易く、他の検査項目との比較が出来やすいと考えられる。調査としては、平成5年7月から毎月1回の採血を行い、従来法とドライケミストリー法による血中逸脱酵素等の測定を行い、測定結果を比較検討した。ドライケミストリー法により、総タンパク、尿素窒素、総コレステロールおよび血中逸脱酵素(LDH,CPK,GOT)の6項目を同時に測定したが、全ての測定項目で非常によく従来法と相関していた。 採血時に主観的な疲労感を知るために、産業疲労の自覚調査、感情プロフィール検査、性格診断テスト等を行った。最も疲労が激しいと思われた約1ヵ月間の夏期合宿の前後で主観的な疲労度と血清生化学検査値との関連性を検討したが、合宿前に既にかなりの疲労感を訴えていた者もあり、明確な傾向は得られなかった。研究は順調に進んでいるが、現在も測定が継続中であり、データの解析までは行っていない。
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