GVHDの免疫学的機序はすでに明らかにされており、問題はいかにしてこれらを特異的な方法でコントロールするかという点である。本研究では、活性化されたT細胞に特異的に作用し、活性化されたリンパ球系細胞のみを傷害する特異性の高い抗体を用いることによって、GVHDのコントロールを目指している。 これまでの解析で、この抗体の作用条件、誘導する細胞死の形態等の基礎的データが得られている。本年度は、この抗体の認識する分子の性状の解析・精製を目標とした。 1、大量のT細胞クローンをNP40で可溶化し、可溶性膜分画から、アフィニティカラムを用いて、この抗体に特異的に結合する分画を精製した。ついで調製的な等電点電気泳動・SDS-PAGE法を併用して、いくつかの抗体結合分画を得た。 2、抗体結合分画は、分子量43〜53kd(等電点5.0〜.5.5)と、分子量85〜90kd(等電点5.5〜60)の、2つの分子群に分れることが明らかになった。 3、この抗体と類似の結合活性を持つが、細胞死を誘導しない抗体を用いて、上記の分子群のうち、どの分子が細胞死に関与するか現在検討中である。 4、活性化T細胞クローンのcDNAライブラリーはすでに準備されているが、抗体結合分子の精製が遅れ、遺伝子クローニングが遅れている。次年度に全力をあげて遂行したい。
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